つぶやき詩集 (1)
コツコツ、コツコツ
仕事を終え、帰る道
駅から家まで自分の足音だけがコツコツと・・・
窓、窓からは黄色い明かりと白い明かりが漏れていて
心模様のように足元を照す
壁を這うように湯気が立ち上っていく
それは、団らんの残り香なのか・・・
忘れていた思い出が走馬灯のよう
足音は夜道に己れの存在を刻む
コツコツコツコツ・・
ポケットの中の冷たい手、何かを掴みかけてはこぼしてしまう手
コツコツコツコツと刻む足音、静かな夜
家まで、あと少し
街路灯も照らしている
己れの歩いてきた道を・・
これから歩く道をポツリ、ポツリとまばらに照す
静かな夜は足音だけをコツコツ、コツコツと
時の刻みを教えてくれる
まだ着かない家はもう少し先だ・・・
取り止めのない思考が静かな夜に教えてくれる
人生の道を刻む音を
コツコツ、コツコツ
今夜は姿を見せないお月さん
星さえボンヤリとしてピンボケに見える
静かな夜、コツコツコツコツ
そろそろ家だ
コツコツコツコツと鉄の階段を上がる
そして、薄汚れた郵便受けを開ける
何処からかの贈り物
赤いリボンの贈り物
そして、ホッコリとなって鍵を回し、家に入った
作品名:つぶやき詩集 (1) 作家名:Riki 相馬