告白
04
俺は2年になった。
速見理沙と知り合って…というか告白の一件があってから、物凄くたまにだがメールが来たし、帰り道の方向が同じな為に、偶然会っては一緒に帰ったりしていた。
彼女との下校は、思いの外趣味が合った為会話が弾んだり、時間が足りないと言っては途中で寄り道をして話したりすることもあった。俺には珍しく順調な交友関係だ。
最初は、相手の気持ちもあるし、やはりそこはこちらが察して遠ざけるべきではとも考えたが、彼女と話していくうちにその気兼ねは必要無いことだと思わせてくれた。彼女の中ではしっかりと線を引き、今は本当に良い友好関係でいたいと思ってくれていることが伝わってくる。
「あれ、龍?」
「…おぅ」
そして変わらず家の方向が同じ奏多とも、たまに偶然会う。
奏多には彼女がいて、近頃では奏多と一緒に帰ることは全くといっていいほど無くなった。
俺が自分の気持ちに気づいてしまったあの日以来、特に俺から離れたわけではないのだが、なぜか俺らの距離はあの日から急激に離れていった。
俺は無意識に奏多にそう感づかれるような行動を取ってしまっていたのだろうか。
それで奏多は自ら離れていったのか…
そのことを聞いたらさらに墓穴をほりそうで、俺は触れることはしなかった。
「へぇ〜龍くんって先輩と付き合ってたんだね」
奏多の彼女が好奇心と羨望に満ちた目で見て言った。
「いや「あ、そっか!」
俺の言葉を遮って、女子はさらに声を張り上げる。
「龍くんがいつも言う好きな人って先輩だったんだね〜!」
「好きな人?」
理沙が聞き返す。おい、興味を持つなよ。
「あれ、先輩知らないんですかー。龍くんモテモテでいっぱい告られるんだけど、決まって“好きな人がいるから”って断られるんですよ」
「…そうなんだ」
「……こら。ニヤっとしないニヤっと」
今すぐにでもからかいたそうな理沙の手を引っ張って、俺は奏多たちの前から去ろうとした。
「じゃあな、奏多」
「……う、うん」
「あれ?もしかして奏多も知らなかったの?仲いいんでしょ?」
という、女子の声が遠くから聞こえた。
奏多の彼女は声がでかいな。
「で?」
「…は」
「誰なの、モテモテな龍士君が大好きな子ってのは」
「とりあえずそのニヤけ顔やめてくれません?」
「失礼だな〜ニヤけてなんかいないよ〜」
「………」