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グランゼーラそうえん
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戦国ファンタジー物(仮)

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開けた場所に出る。城・・・というにはあまりにも小さい砦がそこにあった。
ふと後ろを振り返ると、さっきまで登ってきた道無き道がある。こうして上から見下ろすとそれほど高さがあるわけじゃない。戦という特殊な状態と、道がない状態というのはここまで山を凶悪に変えてしまうのか。
「ぷはっ! 流!武器は持っているか!?」
しのは水を豪快に飲むと、ボクにそう問いかけてきた。
「そのへんに落ちているのでなんとかするよ!」
当然山の上、城の周りとだけあって、敵味方の死体が所々に転がっている。死体が転がっているということは彼らが使っていた武器があるわけで、それらを利用させてもらう。
城からこっち向けて、あまり矢は飛んでこない。その隙を狙ってか、壁を登っていく人も見える。あれは、多分味方だろう。 そんな彼らを援護するために槍を投げる。 弓は、多分ボクには使いこなせないだろうから。
「流、これを使ってみろ。これならとりあえず敵にあたるだろう」
「これ・・・なに?」
木の棒から布が伸びていて、その先にお椀型の別の木が括りつけられていた。
「これは人が石を敵にぶつけるための武器だ。お椀型のところに石でも土でもいいから乗せて、木のところを持って前に振れば、乗せたものが飛んでいく」
たしかに、これならボクでも扱えそうだ。
「っ!」
とりあえず近くにあった石をお椀型の部分に乗せて、言われたように振る。壁を超えることができなかった。弓矢や槍よりかは使えるが、こっちもこっちでコツがいるようだ。
「あぐっ!?」
しのは黙って、弓で矢を放つ。登っている味方を落とそうとした敵の首に命中していた。
「大手門が落ちたぞおおおぉぉぉ!!!!」
反対側から大きな声が聞こえる。
「私らは壁を登るぞ、敵も味方も大手門の方に集中するはずだ」
「登るって・・・」
さっきまでの山登りもかなり大変だったのに、ろくに捕まるところもなさそうな壁を登るのだろうか?
 そう思ったが杞憂だった。
「ふん!」
しのは手近なところにあった縄を投げた。おそらく味方の誰かが使おうとして使わないまま倒されたか、大手門陥落を聞いてそちらにまわったかのどちらか。いずれにせよ、これを使わない手はない。二度ほど、ひっかからず、しのは果敢にも縄を投げ続ける。
「よし、ひっかかったぞ!」
縄が壁の上の方にひっかかり、ボクらは登ろうとする。
その刹那、大きな銅鑼が鳴り響く。
「しの、この銅鑼は何?」
「ふむ、どうやら敵が降伏したようだな。適当に落ちている使えそうなものを拾っておこう」
ろくに装備のない死体の多さから、やはりボクら傭兵の被害は大きかったと見える。しかし、味方の主力はほとんどやられていないはずだ。そうなると傭兵に与えられる報酬はかなり期待できる。しかし、報酬はお金と食料が中心だ。そうなると、町に行くまでの道中に少し不安が残る。そこで、ボクらは落ちている物から使えそうな物を拾っておくことになる。
 通常、戦が終わった状態ではこのように物を拾うことは基本的には許されない。しかし、それは身元がはっきりしている徴兵された兵士に対するお触れだ。ボクらのような傭兵はお咎め無しであることが多い。戦やそれを指揮する偉い人によって許されないこともあるが、今回に限れば特に言われていないので大丈夫だとボクらは判断する。
 もっとも、押し車のような荷物を運ぶものがないので、身につける物や手で持てる物に限られてしまうのでそこまでのうまみはないが、それでも山登りのために装備を軽くしたボクらからすれば、必要な物資だ。
とはいえ、ボクの場合は手作りの弓と矢のセットくらいしか失ったものはないけど。
「流は、使えそうな武器とかが良さそうだな」
「そうなるのかな?」
現在ボクの身を守るのは、これも手作りのひょろひょろとした槍だ。短くて使い勝手の良さそうな刃物を手に入れておきたい。
「ん?」
 ボクは、ふと何かに気がついた。目をやった先には妙に布に覆われた短い筒がある。それの布を広げてみると、中にあったのは小さな刀だった。
「それは小太刀だな。長い刀と合わせて使う物だ」
小太刀を眺めていたボクに流がそう説明を入れてくれる。
「これは軽いし、ボクでも使えそうかな」
「私の持っている刀より短いのは、どうなのだ?」
現状ではボクよりしのの方が背は高いんですけどね・・・。
 とはいえ、今日も無事になんとか生き延びることができたのだった。
参考資料、インスピレーション
・歴史群像アーカイブ6 戦国合戦入門 (学研)
・図解日本の装束 (新紀元社)
・戦国合戦の舞台裏 (洋泉社)
・戦国の合戦 (学研新書)
・戦国の城 (学研新書)
・百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)
・絵解き 雑兵足軽たちの戦い (講談社文庫)
・太閤立志伝Ⅴマニアックス (KOEI)※ゲーム攻略本
・Google 
・世界地図 (帝国書院)
・北条氏康 (学研M文庫)
・やる夫と学ぶ戦いの歴史※vipSS

・知識と発想を与えてくださった多数の書籍、サイト様、人物。