頑張らない介護
む〜みんさんは、和室から出てダイニングに移ると、
ボソッと語りだした。
『お父様、介護度3ですね。
これなら再認定で最低でも介護度1は確実でしょう。
この状態で要支援なんて、いいかげんすぎる。
介護度っていうのは、どれだけ人の手が必要かってことです。
起き上がる時に後ろで介助が必要。
飲食する時に、すでに飲み込むことが容易ではなくなって
きてますから、食べ終わるまで監視も必要でしょう。
布団も畳も便らしき汚れがあり、あの匂い、確実に認知症は
進んでいますね。
お話をうかがった通りでした。
行政の担当者は、介護家族の言い分をあてにはせず
客観的に見て来いと言われているはずです。
なぜならば、介護認定をとるために嘘の報告も
ありうるからです。
でも、それゆえに、調査員はしっかりと実態を見抜く能力が
なければいけません。
でも、実態は、介護なんかしたことない連中が携わって
いるのです。
いいですか、まずは役場で再認定をお願いしてきてください。
日程が決まったら、その日は片づけたり掃除したりしないで
そのまんまの状態で迎えてください。
マスクは渡さんでいいでしょう。
そのまま匂いをかがしてやってください。
耐えられなきゃ、自分でハンカチでおさえるなり
するでしょうからそこまで心配することはない。
自分が判断したものはなんだったのかを
しっかり見せてあげてください。
食べ終わった食器も出しっぱなしくらいがちょうどいい。
食べこぼしなどがあれば、そのままで見せてください。
とにかく、家族の手がまわりきれていないという
状態を見せてください。
私に言わせれば、わざと散らかしておくくらいが
ちょうどいいのです。
普通に判断したら介護度3です。
介護度3の状態を見せたら、2になるか、1になるか。
介護度3をとるためには、4、5の状態を見せなきゃ
ならないってことです。』