頑張らない介護
む〜みんさん
『ああ、奥さん、お構いなく〜。』
と、言いながら、親父の布団から少々離れた、
お膳に置けと、手で無言の指示をした。
む〜みんさん
『だけど、ホント、おじさん元気でよかった。
たまには顔出さないとさあ、おじさんの記憶から
ぶっとんじゃったらさびしいからねえ。
ご飯は普通に食べられるの?
お風呂はどうしてんの?』
巧い展開に、いろいろ質問をしていく。
親父も、以前の役場の人の面接の通り、
ご飯は自分で食べる、箸が使いづらいからスプーンを使う、
風呂も自分で身体を洗う・・・・と、話していた。
親父
『おい、冷めないうちにお茶飲んでくれ。』
む〜みんさん
『あっ、すいません。それじゃあ、失礼していただきます。』
と言って、一口お茶をすすった。
む〜みんさん
『あっ、おじさんのもあるよ。
おじさんも一緒に飲みましょう。
大丈夫?起きられる?』
親父は、ゆっくり起きあがった。
む〜みんさん
『そっちにお茶もっていこうか?』
親父
『そうだな。おい、美由紀、わるいな・・・』
妻は、む〜みんさんを見た。
む〜みんさんは、うなづいた。
妻が親父に湯のみを持たせて、親父の背中を支えた。
む〜みんさん
『あれ〜、こりゃ美味そうなどら焼きだ。
遠慮なくいただこうかな。』
と言って、どら焼きを手にした。