名探偵カラス Ⅲ
「可愛い真由美さんへ
先日はずいぶんな歓迎をしてもらってありがとう。お陰で、僕は片目が完全に見えなくなってしまったよ。それがどういうことか、分かるよねっ!
片目になって初めて分かったんだけど、距離感が正しく計れないんだ。だから、階段でもつまずいて転びそうになったり、電車のつり革に掴まったつもりがスルーッとすり抜けて、空を切った状態で前に転びそうになったりもする。とっても危険で、不便なものなんだよ。
でも、こうなったのは誰のせいなんだっけ? 君のせいだよね!
君は「違う、それはカラスのせいよ!」 って言うかも知れない。でも、そのカラスを飼っているんだろ? 君は。
カラスを飼うっていうのは聞いたことないけど、もし飼ってないにしても君が手なずけていることは間違いないんだから、当然、君の責任だよね。
さあ、この責任をどう取ってもらおうかな? ウフフ……。
今、色々と考えてるんだ。君が喜んでくれる方法をねっ!
もう少ししたら、包帯が取れる。そしたら、きっちりお礼に行くからねっ。楽しみに待っててよ! もちろん、あのカラスくんにも必ずお礼をするつもりだから、精々宜しく伝えてくれよ。いひひひ……楽しみだなぁ〜〜
じゃあ、その時に……。
受けた傷はきっちり返す ヒロより」
「もう猶予はない!」
俺は、アイツからの手紙を読んでそう思った。
アイツは必ず仕返しに来るだろう。その時には、どんなことをするか分からない。
アイツは異常だ。まともではない。そんな奴を懲らしめるには、やはりもうあの手しかない。例えポーが止めても……。
俺は早速準備に掛かることにした。