ハアちゃんはご近所の星☆
【プウは強い】
ある台風の晩、出来事は起きた。
誰に対してもワンワン吠えて、吠えながらあとすだりして、
母親のハアに寄り添ってしまうプウ。
そんな気が弱いプウが、台風の晩、ある行動にでた。
降りしきる雨の中で母親のハアをしっかり守っていたのだ。
ハアは子犬のころ、一度買ってやった小屋が台風で飛ばされ、
無残に壊れていく姿をまあたりにし、それがトラウマとなって
しまったのか、小屋を嫌って入らなかった。
いや、ただ単にパン箱暮らしが気に入っていただけなのかも
しれない。
俺は台風の晩、そんなハアが心配になり、
雨合羽を着て覗きに行った。
すると、家の裏側の軒下の、ほんの少し雨を避けられる場所にハアがうずくまっている。
そして、その前にプウが立ちはだかって目をつぶり、雨風を受けてビショ濡れになって
ハアを守っていた。
『プウ!大丈夫だ!そこならハアは濡れないから!』
言葉が通じない犬に対し、いい大人の俺が雨風の中、大声だして。
今、思えば近所に恥ずかしい話だ。
でも、強く降りしきる雨の中で、ビショ濡れになって足を震わせハアを守るプウの姿が、
あまりにせつなくて、
あまりに愛おしくて
たまらなかった。
作品名:ハアちゃんはご近所の星☆ 作家名:★風神雷神☆彡