死生学研究科
森山「あ、はい。そうですね。学部を廃止にする話ですが、委員会にはこう報告しておいて下さい。その決定は1年先送りすると。ええ、たしかに問題は起こしたんですが、それが新しい化学変化を起こしそうで。いやミイラ取りとかじゃなくてですね。ただもうちょっと彼らを見ていたくて。すいません。後でかけ直します。」
赤石と白井がやって来る。
白井「こんなとこにいた。」
森山「どうかしました?」
白井「全然来ないから捜しに来たの。」
赤石「電話ぐらい出ろよ。」
森山「すいません。」
白井「それで、こんなとこで何してたの?」
森山「家に電話を。」
白井「そう。それでさ、私決めたんだ。ユウヤの研究の跡を継ぐって。高見君と一緒に。」
赤石「あ、俺も実験続けることにした。夢が鍵だったんだよ。汐也が教えてくれたんだ。」
森山「そうですか。」
白井「コタロー君はどうなの?」
森山「いえ、特には。」
赤石「ところでさ、コタローはここ来て1週間ぐらい経つけど、だいたいうちがどんなもんか分かった?」
森山「ええ。ここは自殺はするし、動物実験もするし、教授のことは迷わず解剖するし、出会う人みんなどこか欠落してるし。」
赤石「おお」
森山「電波な人はいるし、教授陣は病んでるし、サイバーテロが起きると、学長が隠蔽工作するし。」
赤石「踏んだり蹴ったりだな」
森山「けど、学問に対する姿勢とか、悪い意味での行動力とか、僕は好きですね。」
赤石「そっか。」
森山「皆さんなら何か出来そうな気がします。社会のために何か大きなことを。」
白井「コタロー君も一緒にやろうよ?」
赤石「中野研入れよ」
森山「ふっ、いいんですかねぇ?」
赤石「何もったいぶってんの?」
白井「そうだよ。」
森山「じゃあお言葉に甘えます。」
赤石「じゃあ、ディスカッション行こうぜ?」
赤石と白井と森山が出て行く。
〈幕〉
1