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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第六回・伍】茶柱の心

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コポコポという音をさせながら急須に注がれていくお湯の湯気で向こう側がぼやけて見える
「…眼鏡曇った;」
その湯気で坂田の眼鏡が白く曇った
「粗茶で御座います」
京助が淹れたてのお茶がはいった湯飲みを差し出した
「結構なお手前で」
南が受け取って深々と頭を下げた
「三回まわすんだっけか? 茶」
中島が湯飲みを取って聞く
「四回じゃなかったか? アレ?」
京助も急須を置いて湯のみをもった
「ってかまわす事に何か意味あんのか?アレ」
曇った眼鏡を拭いてかけなおした坂田が言う
「…さぁ?」
南がズッと音を立てて茶を一口飲んだ
「お邪魔するっちゃ」
緊那羅が手にお盆を持って部屋の戸を開けた
「お! まってました羊羹!」
京助にお盆を手渡すと緊那羅が戸を閉めて座った
「この年寄りくさいカンジがまたいいですなぁ…緑茶に羊羹…ン~ベリグー!」
中島が一口サイズに切ってある羊羹を口に入れた
「なんだかんだ言ってもうまいんだよねぇ…やっぱり俺たち日本人だしねぇ」
南も羊羹を一つ手に取った
「お前も飲む?」
京助が緊那羅に聞いた
「あ…うん欲しいっちゃ」
緊那羅が答える
「ちょこっと劇場! …茶、ほしいっちゃ」
「…くだらね---------------------!」
中島が言うと坂田がくだらないといいながらも笑って突っ込んだ
「…中島;」
緊那羅が溜息をついた
「真面目にくだらね----------------!」
急須から湯飲みに茶を淹れながら京助も突っ込んだ
「ほれよ」
湯気の立つ湯飲みを京助が差し出した
「あ、ありがとだっちゃ」
ソレを緊那羅が笑顔で受け取る
「あ」
口をつけようとして緊那羅が声を上げた
「なした?」
坂田が緊那羅に聞く
「目玉のオヤジでも入浴してた?」
南が冗談を言いながら緊那羅の湯のみを覗き込んだ
「お! 茶柱!」
緊那羅の持つ湯飲みの中にプカプカと縦に浮かんだ茶の葉の茎の部分
「へー!めっずらしー!」
中島が言う
「俺はじめて見たー…本当に縦に浮かんでやがんのー」
南が感動している
「淹れたの俺!淹れたの俺!」
京助が少し興奮気味に自己主張する
「ハイハイわかったわかった…にしても…今時の急須で茶柱なんかめったにできないんだぞー…俺も微妙感動」
坂田が湯飲みを覗き込むと湯気でまた眼鏡が曇った