満月の夜
人狼のお話
お母さんは言いました。
満月の夜は外に出てはならないと。
なぜなら満月の夜は人狼達の狩りの時間。
見つかったら食べられてしまうからです。
怖くなった私は尋ねました。
「ねぇ、お母さん。そんなの嘘でしょ?本当は人狼なんていないんでしょ?」
私は縋るようにしてお母さんに言いました。
きっとお母さんはこう答えるはずです。
「ええ、嘘よ。人狼なんてただの作り話。だから安心してお眠りなさい」
でもお母さんの答えは私の期待とは違うものでした。
「いいえジェシカ。人狼は実在するわ。だから絶対に満月の夜は出歩いてはいけません」
お母さんのこんな真面目な顔今まで見たことがありません。
いつも笑顔で、いつも冗談ばかり言っているお母さんのこんな顔を。
必然的に私は悟りました。
人狼は実在するのだと。