無題Ⅱ~神に愛された街~
朝食を取るため、店がある一番下の階に下りてきた鬨とヴェクサは、適当に空いている席へと腰かけた。朝早いせいか、客も少なく、静かな雰囲気が漂っている。
昨日は夜だったせいもありそれなりに騒がしかったが、今は見る影もない。
「で、今日はどうすンだ?」
「まずは買い物だな。早いうちに道具をそろえる」
「ふーン。わかった・・・で、買い物に行くって、何するンだ?」
「そうだな・・・まずは服だな。そのあと食糧や旅に必要な物をそろえる」
「ン・・・・って、俺あンま金持ってないぞ?」
ちゃんとした準備もせず・・・というか勢いでそのままついてきてしまったため、所持金はあまりない。街に戻れればそれなりの金額は用意できるが、今から戻ることは出来ないだろう。それに、そもそもヴェクサは街へ戻れない。
「問題無い」
鬨にそう言われ、複雑そうな顔をしているヴェクサに鬨が無表情なまま付け足す。
「後から働いてもらうことになるからな・・・ついでだ、武器もちゃんとしたものを用意しよう」
「・・・・・は?」
意味が解らない、と言う顔で固まるヴェクサに、鬨は口元をゆがませ、
「後でわかる」
そう言うが早いか、鬨は食事を終え、立ち上がる。
それを見たヴェクサも、急いで自分の分を食べ終えた。
作品名:無題Ⅱ~神に愛された街~ 作家名:渡鳥