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フリフリ星の宇宙人

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私は、悪い人になりたいです。私がそう言った時の先輩の顔は忘れられません。一見何の変化もないように見えますが、頬は引きつっているし、若干足もプルプル震えていました。ゲラゲラ笑ってもよかったのですが、さすがに空気を読みました。何せ、先輩の前です。ケンヤは「宇宙人のくせに」とか言ってからかってきましたが、それは何かいけないことなのでしょうか。宇宙人にも、上下関係はつきものなのです。人間と一緒で、最近文明も発達してきました。そして私は最近、ビデオの予約が一人でできるようになりました。

「……で、何だ?」
「つまり、『悪い』人を紹介してもらいたいと思います。私の勉強のために」
「ふむふむ。勉強、ね。でも、何も俺である必要はどこにもないと思うけど」
「確かに、情報だけならどこでも手に入ります。この地球はうまくできています。インターネットというものは、私はまだ扱えませんが、いずれ『ブログ』なるものも作ってみたいと思っていますし」
「話ずれてないか? 知識だけならいいけど、今の俺の体じゃ何もできないよ」
 それはそうですね。だって、あなたは今いわゆる幽霊ですし。口には出しませんが。

 彼と出会ったのは、ただの偶然という建前の不幸でした。視力はとてもいい私でも、あれはとても驚きました。だって、ねえ。

  ***

 宇宙が広いのは皆さんご存じの通りです。だから、宇宙人もたくさん存在するかと言ったら、そういう単純なものでもないのです。私の種類の人々は、『フリフリ』と呼ばれています。なぜかと言うと、長(私よりも何倍も偉い人です)が、地球へ視察に行ったときに、とあるアニメの魔女っ子キャラに惚れてしまったからだという噂です。あくまで、噂です。そして、他には『プリン』『チラリズム』、果ては『機内食』というものもあるそうです。それを聞いた時、私は『フリフリ』であることを初めてうれしく思ったものです。長というものは意外と単純なのでしょうか。
 ……と、そういう風に宇宙人も賢いわけではありません。人間と一緒でいろんなことに悩んだり、苦しんだりします。それに、人間が発見したこと以上の素晴らしい研究などないので、正直自分の住んでいる星――おそらく、惑星ではありません――についても、全くわかっていないのです。そしてそれが如何に恥ずかしいことかということに初めて宇宙人(『チラリズム』所属)が気づいたのが、つい二百年ほど前の話です。そして、急ピッチで進められた宇宙船開発によって、地球に来ることができました。なぜか、宇宙人というものは一旦理屈に気がつくとひらめきというものが生まれるようです。つまりは、天才なのです! ただの自慢ですが。というわけで、私も地球の言語や歴史の勉強をして、試験や面接に通ったのでこうして地球へ来られました。本当に、これはすごいことなのですよ。

作品名:フリフリ星の宇宙人 作家名:如月有樹