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【三題話】幸せは不幸を連れてやってくる

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「そうもいかんのじゃ。聖約の接吻は初めてでなくてはならんのじゃが、放っておくと春也君のところに夜這いしてでも唇を奪いかねんやつじゃからなぁ」
 ミチルの脳裏に、天井裏をほふく前進する美琴の姿が浮かんだ。妙にリアルに。
「ひ、否定できへん。……友達がいのないウチを許してなミコやん」
「ま、というわけじゃ。もはやオマエは美琴と聖約を交わした身。オマエは帰らなくていいんじゃ。これからも美琴の力になってくれい」
「ホンマに!?」
 ぐっと達彦の手を握るミチルの瞳に、うっすらと涙が浮かんでいる。
「おおきに……。ウチ、友達になれたミコやんと離れたくなかったんや」
「そうか。よかったのぅ」
「おおきに! おおきに! ウチ、幸せやぁ〜〜」
 ぶんぶんと手を上下に振った後、あることに気づいてミチルの動きが止まった。
「あの……校長センセ、ちょっと聞きたいことがあるんやけど……」
「ここでは宮司じゃ」
「どっちでもええねん。……なあ、ウチと聖約を交わしたってミコやんが知るときには、ウチの正体がバレる……つまりファーストキスを奪ったのがウチやってバレるんちゃうん!?」
「ああ、ばればれじゃ。超バレバレ。女子高生風に言うとチョバレってやつ?」
 さ〜〜〜〜〜っと、ミチルの顔から血の気が引いた。
 幸せなはずの聖約が、不幸を呼ぶこと間違いなし!
「うそぉ! そんなことになったら、百万回殺されてまうやんか〜〜〜」
「そのときは、百万一回生き返れ」
「そんなぁ、何とかしてぇな! 校長センセ!!」
「先生は生徒間のコトには口をださんのじゃ」
「そんな、殺生なぁっっっっ!!」
 ミチルの絶叫が、静まりかえった夜の森に響いた。
 何度も何度も、何度も響いた……。
 
 2人が仲直りして、美琴が世のため人のため、そしてなにより自分のために闘うようになるのは、遠いようで近い未来の話である……。

                                (終わり)