WHITE BOOK
第8章:初戦(First Battle)
「そういやソアラ、遅いね。」
想楽はエリカに向かって呟いた。
ソアラは想楽の白本術を見た後、「ここに来てる人達に挨拶してくるね」と言って部屋を出て行ったのだ。エランドという立場は大変なのだろう。
しかし、このトレーニングホールは3階建て、部屋は全部で12個。職員の挨拶を含めても、そんなにかからないだろう。
《ソアラ様が出発されてから、1時間以上経過しています。何かあったのでしょうか?》
エリカも疑問を書き記した。
「ちょっと、様子見に行ってみようか。」
《はい。》
一度本を閉じて、想楽は立ち上がった。そして入り口のドアを開けて、上ってきた階段を降り、踊り場を折り返して下を覗くと――
「……え?」
その先に見える光景に、何も言えなくなってしまった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ