WHITE BOOK
不意に体が熱くなる。
どうやら本を持った左手から発せられているらしいその熱は全身を駆け巡り、そしてまとまった光のようなものへ変わった。それからペンを持った右手に移ると、今度は指からペンへと通り抜け、ペン先で具現して陽炎を立ち上らせた。それは、ソアラが炎の剣を燃え上がらせた魔法よりも、一瞬の出来事だった。
背後からソアラがおお、と驚く声が聞こえた。そして想楽自身も、その一瞬にひどく驚いていた。
「これは……?」
器用に人差し指だけで1ページをめくると、
《これは我が詠唱を合図に、想楽様の体内に眠る魔力を引き出し、純粋火炎のエネルギーに変換したものです。》
と、本の言葉が書いてあった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ