WHITE BOOK
サリアはエリザの実の娘。だからと言って、エランドとして不利になることを、スターシーカーのトップに伝えるのはどういうことだろうか。それが、エリザがサリアにかけた暗示なのだろうか。
心の中での情報整理を終え、言った。
「サリアさんにかけられた暗示って、そんなに強いものなんですね。」
「暗示のことは聞いていたか。」
「はい、かけられてるって事実だけは。」
後ろでセイファーがまた固まっているのは見なくても分かる。ソアラも、まさかエランドであるサリアが――暗示をかけられているとはいえ――そんなことをすると思っていなかったようだ。
その様子を見て、嵐はアシンメトリーになっているうち、長い右側の髪を軽く触った。
「――“自を染める白、他を染める黒”という言葉がある。」
それは今までに聞いたことのない文だった。想楽もセイファーも、なぜかソアラまでも首をかしげて、続きに耳を傾ける。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ