WHITE BOOK
「ねぇ、想楽お姉ちゃん。」
りぼんに呼ばれ、想楽は後ろを振り向いた。
「何?」
「セイファーさんって、男の人にも見えないけどさ――」
やはりりぼんも、最初はそう思っていたらしい。
「見た目じゃ年齢も分からないよね。何歳なんだろう?」
言われてみて、もう一度セイファーの後姿を見た。
想楽よりも少し低い身長、細身の体、癖のないセミロングの金髪は、やはり彼を女性的に見せている。表情はいつも若干幼いが、口からつむぎだすソプラノの言葉はひどく落ち着いた言葉遣いだ。敵ですら、子供にさえ敬称をつけ、丁寧語で話すセイファーは確かに。
「……うん、年齢不詳だね。」
セイファーが想楽たちとまったく違う「妖精」だからかも知れないが、判断をすることができなかった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ