WHITE BOOK
その危ないほどに速い速度を維持している間に想楽も息が整い、ソアラに2人の紹介を受けた。運転手はライト・クリムゾン、助手席の少女は梢 理音(こずえ りのん)とそれぞれの種族の名前を教わったが、
「日溜 頼斗(ひだまり らいと)です。」
「フィノン・スターライトだよ。」
彼らが名乗ったのは、種族とは逆の名前だった。共団が種族と違う名前を名乗るという情報は、本当に正しかったようだ。
そこで、想楽はあることに気付く。
「あれ、フィノンさんの名字って……?」
「フィノンでいいよー。」
即座にそう言ったフィノンは、助手席から後ろを向いて続けた。
「わたし、アリスの妹なんだよ。それから、頼斗くんはアリスの旦那さん。」
想楽は2つのことに驚愕する。1つは、フィノンがアリスのことを呼び捨てにしていることだ。妹に敬語を使うアランを最初に知ったのだから、全員がそうだと思っていたのだ。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ