WHITE BOOK
名前が浮かび上がってきた時にはまさか、と思った。
でも、本当だなんて微塵も思わなかった。
目の前にあるその本は、自ら「私は魔法の本です」と言ってのけた。
いくら魔法の存在を夢見ている2人とはいえ、いきなり現れたそれを簡単に認められるはずがない。
「魔法……って、それ本当に?証拠があるならぜひ見せてほしい。」
本に向かって問いかける想楽。本はまたも右下に青い矢印を表示してそれに答える。
想楽はページをめくり。
そして、その答えを見て驚愕した。
「どうしたの、想楽?」
美姫が顔を覗き込んでくる。それから、そのページに視線を落とし、そのまま想楽と同じ表情で固まってしまった。
そのページには、こう書いてあった。
《あなたを我々の世界に導くことが、証拠になりえますでしょうか?》
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ