WHITE BOOK
想楽も美姫も、そこに書いてあった一文を見て、固まる以外の選択肢を全て失っていた。
表紙の名前と同じような、几帳面な明朝体。それはおそらく、想楽に向けられた言葉だった。
「えー……。」
「うっそー、まさか、本当に?」
我に返った2人の反応は、全然違うものだった。
「想楽っ、本当にこれ魔法の本かもしれない!」
2人ともファンタジーは大好き。
美姫はファンタジーと名の付くゲームはほとんどプレイしたし、想楽はファンタジーものの小説は片っ端から読んでいる。もちろん魔法の類も好きで、美姫はテレビに出るような超能力者に憧れているし、想楽は魔方陣だとか呪文だとかにとても詳しい。将来の夢が「魔法の箒で空を飛ぶこと」だったこともあった。
テンション上がりっぱなしの美姫とは対象に、いまだに半信半疑な想楽。
「本当……なのかな?」
想楽がつぶやくと、本はそれに答えるかのように、ページの右下に青い右矢印を映し出した。RPGなんかによくある、ボタンを押して台詞を送ってくださいといったあれによく似ている。
この場合、ページをめくれという意味だろうと判断した想楽は、次のページに書いてあるものが不安になりながらも、1枚めくった。
《確かに、我は魔法の本といえる存在です。》
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ