WHITE BOOK
案内されたのは、教会の隣の建物。聞くと、ここは修道女達の暮らす寮であるらしい。
その中の一室に、2人は通された。
そこにいたのは金髪の女性。みるむがさらわれていて美姫とは似ていないから、おそらく彼女がみるむが連れてきた白本の使徒なのだろう。山吹色のケープを羽織り、青いロングドレスを着た彼女は、左の肩を右手で押さえた状態で、うつむいたまま何かぶつぶつと呟いていた。近付くと、その一部を聞き取ることができたが――
「……ウキタゲン、タトベタゲンセギバ。ホペンパワニ……。」
その言葉は、想楽の中でもソアラの中でも文章にならない、意味不明の言葉だった。サリーと共に3人で目を点にする。
彼女はさらに言葉を続ける。
「ゴプア、ヨグウベラニニンセウダ……?」
顔を上げ、閉じていたまぶたを開くと、そこから漆黒の瞳が姿を現す。そこでようやく、3人の入室に気付いたようだった。
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ