WHITE BOOK
さりげなく自分がフィアルであるかのような表現をしてみたが、コウジはそれにもしっかり引っかかってくれたようだ。確かに判断材料の右手は光で隠れているし、コウジもフィアルとディアル以外の人間がいるなんて微塵も思わないだろう。
「へっ、聖族ごときが偉そうに。殺すなとは言われてねえし、言っとくけど手加減はしないからな。」
コウジは右手につけた黒い手袋の指先をつかむ。おそらく、源力操作はオーブや螺旋模様が見えるようにしておかなければ使えないのだろう。
「――後悔しても、知らねえぞ。」
言い放って、手袋を抜き取る。そして、その下から現れたものに、想楽はとまどってしまった。
「えっ……?」
作品名:WHITE BOOK 作家名:アリス・スターズ