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ねむい

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たくさんの人の悪意を集めて他人とか自分とか小さな隔たりをすべて取り払ったならばきっとわたしたちただの肉の塊。世界から剥離しても世界は追いかけてきて飲み込んで咀嚼して分りたくないものまでもすべて理解せざるを得ない。裂けた空想は人を殺す。寒い日に小さくなった老人が生きるために他人を害することも、やるせない気持ちのままで見続けたきっと楽しいだろう喜劇の内容も頭の中ではただの記号と文明の羅列。羊の色をした夢が悪夢を食べて飲み込んで吐いた。結びそこなった靴紐が世界の電線になって僕たちの電波を妨害する。ピンク色の綿あめを塗りつぶしてセメントで固めて窓から投げた。歯が痛い。小さな虫が死んだ。揺れ動いた感情と情けないくらいに揺れ動く思考ダダ漏れの思考動かない思考くずだねくずだ陳腐な言葉とくだらない同調。鳴り続けるパレードの音に笛はいない。ラッパを吹く男は靴をなくして、列には入れない。黒い服はみんな燃やされた。よれた皺に光があたって、気持ちが悪い。せり上がってくる嘔吐感に堪えれば君が笑う。冷たくなった体もぶよぶよとしたただの肉の感触を感じさせるので細かく裂いて飲んで咀嚼して吐き気を催してそれでも飲み込んで飲み干してああこれで全部僕のもんだ。君は咀嚼された。今から僕になった。世界はぼくになった。真っ白に塗りつぶされて終わりの鐘が鳴った。まだラッパ吹きの靴はみつからない。


作品名:ねむい 作家名:はづき