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SDSバスターズ~ピエロ退治します~

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<章=仲間にさせていただきました……orz>
   
 俺は学校を後にし、近くの喫茶店にいた。この喫茶店、レトロな雰囲気が特徴で、マスターと呼ばれる初老の男性が営んでいる、いかにもという店だった。
 この店は学校に近いものの学生はあまり立ち寄らない穴場なのだ。誰かをここに呼ぶことはあまりないしたくないのだが今は緊急事態。仕方がない。
 カランカラン、とドアの音がすると四人の男女が入ってきた。
 西日のせいか、逆光になっていて顔はわからない。シルエットが山田の言っていた集団と一致するから、多分彼らがそうなのだろう。
 俺は声をかけようと腰を上げた。
 すると中学生ぐらいでツインテの少女が腰に手を当て叫んだ。
「もう! 折角迎えに行ってあげたのに! 失礼なんじゃないの!? レディに対する扱いじゃないわ!」
 全く以って。声をかける気が俄然失せた。というか、彼女は誰だ? どう考えてもこれから人生の先輩に会う奴の態度じゃないだろ。
 でも、声をかけなければ彼女はそのままドアの前で悪態をつき続けるだろう。周りの三人、アリアさんらしき女性はピクリとも動かず前方を見据え、ゲンさんは周りを見渡し、セシルは腕を組んで仁王立ち、といった具合に誰も彼女を止める気がなさそうなのだから。
「あの、こっちです」
「ああ。そこにいたんだ。ずいぶん隅にいたから気付かなかったよ」
 セシルは言うと俺の居る席に近づいてきた。そう俺はあえて目立たない隅の席を選んだ。だって、山田の話から想像すると、彼らはものすごく目立つらしい。それも悪目立ち。至って普通の生活を望む俺は、いくら学校の生徒が来ない穴場だからといっても、これ以上生きづらくなる要素を増やしたくなかったのだ。
「すみません。いつもこの席に座っているもので」
 俺はぺこりと小さく頭をさげ、ちょっとした嘘を吐いた。それに対し、セシルは「いいよ、いいよ」といって笑顔で応えた。
 昨日はセシルと言う人物を逆光のせいで見ることができなかったが、二十代後半であろうゲンさんが「ボス」と呼んでいることから、能天気ではあるが立派な三十代の社会人という風貌を想像していた。だが、これは何だ。目の前にいる人物は三十代どころか、社会人にもなっていなさそうな若い青年だった。歳は俺と同じ、あるいはそれ以下に見える。
 すると、俺の沈黙の意味を察したのか、今まで微動だにしなかったアリアが俺の耳に顔を寄せ囁いた。
「ボスの外見に関してはあまり気にしない方が。私たちにも実年齢が分かりません」
 俺は静かに頷いた。
 先程の少女が唐突に口を開いた。
「いつまで立たせるつもり! 席を勧めるぐらいしたら?」
 さらに「マナーがなってないわね」と付けたした。確かに、席を勧めなかった俺が悪いが。初対面の者にその口の利きようは……。
「失礼だとは思いますが、言わせてもらいます」
 俺は真っすぐに彼女を見つめ、言い放った。
「確かに席を勧めなかった僕も悪いと思います。しかし、それが年上の、まして初対面の者に対するの利き方だとは思いません。マナーが悪いのはそちらも同じでは?」
 言い切ると、五人の間に沈黙が流れた。
その沈黙を破ったのは俺の言葉を聞いた後、下を向いて(おそらく)羞恥に肩を震わせている少女ではなく、意外にも、もう一人の少女だった。
「ふ、ふふふふ、あはははは」
 アリアさんはおなかを抱え、大きな声で笑い出した。
 さっきまで人形のように動かなかった少女と同一人物とは思えない。
 その様子を見たセシルは目を丸くし、ゲンさんは驚きのあまり口に含もうとしていた水を勢いよく吹き出し、むせていた。
 彼女の反応にさらに顔を赤くさせた少女は、両手を振りまわしながら叫んだ。
「ア、アリア! 笑ってんじゃないわよ! それに、お、お前! わ、私は、二十二歳だ―――――――――!!」
 アリアさんは「す、すみません」と言い、大きく息を吸うと、元に戻った。
 俺は、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
(「二十、二?」)
 目の前にいる、見た目中学生、いや下手すると小学生の少女が俺より年上? しかも、二十歳を過ぎた立派な大人だと?
「は、犯罪?」
 俺はやっとの思いで声を絞り出した。
 少女は再び怒りのあまり、今度はマジで暴れだしそうになった。
 ゲンさんとアリアさんは少女を抑え込んだ。
 セシルは目を丸くし、肩を震わせ、動転している俺の肩を抱くと席に座らせ、水を勧めた。
「そうなんだ。残念なことにね。全く詐欺だよね~」
 セシルは首をゆるゆると振りながら、にこやかに且つ実に楽しそうに言った。
 俺は勧められた水を呑みながら、同感だ、と思った。他の三人のも席に着き、やっと落ち着いた。
「さて、やっと話が出来るね」
 セシルは机の上で手を組み続けた。
「これで全員だし、自己紹介……。僕らのこと、覚えてる?」
 俺は、コクリと頷くといった。
「そこの男性が、ゲン、さん。メイドの彼女がアリアさん。となると、貴方がセシル」
 ゲンさんはそれに対し、大きくため息をついて訂正した。
「さん付けはよしてくれ。ジジイみたいだ」
 アリアもそれに同意したのか、私もさん付けは遠慮したいです、と小さい声でしかし、ハッキリと言った。
「となると、っていう消去法に何か引っかかるけど。よし、良く覚えていた! じゃあ、最後に彼女だ」
 俺は先程の少女に目を向けた。いまだに怒りが収まらないのか、腕を組み、頬を膨らませ、顔を背けていた。その姿は一層、彼女の年齢を低く見せた。
(これが二十二だなんて……) 
 セシルは、彼女に自己紹介を促すと、大きな声で言い放った。
「エミリア・ワトソン。二十二歳!」
 言い終わると、フンッと鼻を鳴らしまたそっぽ向いてしまった。気のせいか、年齢がとても強調されていた気がする。
「僕らはエリーって呼んでるから、君もそう呼ぶといいさ」
 彼女に関しても、さん付けはしなくていいだろう。他の三人もしなくてよいと言っていたし、どうも彼女が年上だと思えない。
 俺は小さくうなずこうとした。
「嫌よ。エリーって呼ぶのは構わないけど、様付けしなさい」
 はぁ? 俺は耳がおかしくなったのか?
「はぁ~。エリー。様付けって、君は一体どこの女王様だい?」
「エリーが女王? 傑作だな」
「私はいいと思いますが……」
 三人が口々に言った。良かった、俺の耳はまだおかしくなってやしない。
「そう、呼ばなきゃダメですかねぇ?」
 俺が尋ねえると、答えは一対三でNO。
 本人に了承を経ていないが、俺は彼女をちゃん付けで呼ぶことにした。
「では、話を進めよう」
 セシルは俺の方を向いた。俺が気を引き締めると、彼の顔を歪め、顔を後ろに向けた。
「なんで、またって言ったのに来なかったのさ!」
 ずーっと、待っていたんだよと言い、彼は再び俺の方を向いた。その目に雫が……。
 意味が分からない。
「あの。また、なんて言ってませんよね? それに……えぇー!?」 
 俺の胸元を掴み嗚咽交じりに泣くその人と、他の三人を交互に見た。助けを求めるために。
「ったく、しょうがねぇ。ボ……」