【第五回・禄 】白い天使に懐かれた
12月だというのに今年は暖かく今日に限っては雨という天気で緊那羅が久々に早く布団から出て新聞を取りに玄関に降り立った
玄関を開けると雨の日特有の匂いがする
昨日まで真っ白だった栄野家の前はコンクリートの地面や土がところどころ顔を覗かせていた
「…このままの気温でずっといてくれればいいのに…」
雨の中を小走りで新聞の差し込んである郵便受けに取りに行く
はみ出ていた部分が少し雨で濡れている新聞を取って緊那羅が振りかえるとそこには傘を差し大きな荷物を持った一人の若い女性が立っていた
「…お…おはようございますっ;」
参拝客だと思い緊那羅が頭を下げるとその女性が近づいてきた
「すいません…参拝の間この荷物預かっていてくれませんか?」
そう言って大きな荷物を緊那羅に差し出した
「あ…はい…」
両手で緊那羅が荷物を受け取ると女性が境内に向かって歩いていった
小脇に挟んでいた新聞を玄関の中に入れて荷物を玄関の床に置くと緊那羅(きんなら)もその場にしゃがんで女性を待つ
「うぇ…ふぇっ」
「……?」
微かに何か泣き声のような声が聞えた
「ふえっふぇっ」
今度はハッキリと泣き声が聞えた
「荷物…からきこえるっちゃ…」
女性から預かった荷物から聞える泣き声
脚からの預かり物ということと開けるのが少し怖いということで開けるのを躊躇っていた緊那羅が荷物のファスナーを動かすと
「ふぇぇえ!! ふぇえええ!!」
泣き声が玄関中に響いた
「…あ…赤ちゃん!?;」
小さな手袋をはめた手で懸命に宙を掻き何かを探して泣いている
顔が赤いのは泣いているせいか息苦しかったせいか
「は…ハルミママさん!; は…もう境内…にいってる時間だっちゃ…; …京助ーッ!;」
「ふぇえええええええ!!」
緊那羅が京助を大声で呼ぶと赤ちゃんがそれに驚いたのか一層大きな泣き声をあげる
「どっ…どうしよう;」
オロオロと赤ちゃんの入った大きな鞄と家の奥を交互に見る
「…とりあえず…ここから出して…;」
泣き喚く赤ちゃんの背中に手を入れてゆっくりと鞄から出すと危なっかしい手つきで背中を軽く叩きながらリズムを取ると泣き声が止んだ
「…泣き止んだ…;」
緊那羅が安堵の息を吐く
静かになった玄関には雨の音しか聞こえず
誰かがやってくる足音いはいっこうにしない
「…まさかとおもうけど;」
緊那羅は最悪の予想を頭の中で考えていた
「……」
休日なのに緊那羅の声で起された京助が数回瞬きをして目をこすり脇腹を掻いた後に目を細めて緊那羅の腕の中をじっと見る
「……赤ちゃんくらいで起すなよ…」
でっかい欠伸をして緊那羅に背を向けて歩き出そうとして京助が止まった
「…お前が産んだとか?」
「ちがうっちゃッ!;」
「ふぇえええ!!」
緊那羅が京助の言葉に怒鳴り返した声に驚いたのか赤ちゃんが泣き出した
「うぁああ!!; よしよし」
慌てて緊那羅があやす
「…お前妙に似合ってるぞソレ」
必死で泣き止ませようとしている緊那羅に京助が口の端をあげて笑いながら言った
「どれ、かしてミソ」
一向に泣き止まない赤ちゃんを緊那羅から受け取ると京助が手馴れた手つきで背中を軽く叩きならが体を揺らし始める
「…あ…泣き止んだっちゃ…」
まだフンフン鼻は鳴っているものの泣き止んだ赤ちゃんに緊那羅が微笑む
「ほれ」
泣き止んだ赤ちゃんを再び緊那羅に返すと京助が寝癖のついた頭を掻きながら赤ちゃんの頬をつついた
「で…コレはどうしたんよ?」
やっと本題に入るらしく京助が聞いてきた
「あ…んと…さっき新聞取りに行ったら参拝の間預かってくれって言って渡された荷物の中に入ってたんだちゃ」
緊那羅が赤ちゃんの入っていた鞄に目をやった
「…その参拝客コウノトリだったりしてな」
京助が笑いながら赤ちゃんの入っていた鞄の中を見て鞄の中に手を入れる
「…紙おむつ…粉ミルクの缶 (携帯サイズ)…哺乳瓶に…」
次々に鞄の中身を出していく京助の傍に緊那羅が座って一緒に鞄の中を見る
「…手紙」
最後にタオルの下にあった手紙を京助が取り出した
「…京助…私さっきから凄く嫌な予感するんだっちゃ;」
緊那羅の言う【嫌な予感】というのは緊那羅の髪を口に含んで吸っている赤ちゃんのことではないと思われる
「…俺もです緊那羅さん…」
京助も遠くを見つめながら手紙を開いた
玄関を開けると雨の日特有の匂いがする
昨日まで真っ白だった栄野家の前はコンクリートの地面や土がところどころ顔を覗かせていた
「…このままの気温でずっといてくれればいいのに…」
雨の中を小走りで新聞の差し込んである郵便受けに取りに行く
はみ出ていた部分が少し雨で濡れている新聞を取って緊那羅が振りかえるとそこには傘を差し大きな荷物を持った一人の若い女性が立っていた
「…お…おはようございますっ;」
参拝客だと思い緊那羅が頭を下げるとその女性が近づいてきた
「すいません…参拝の間この荷物預かっていてくれませんか?」
そう言って大きな荷物を緊那羅に差し出した
「あ…はい…」
両手で緊那羅が荷物を受け取ると女性が境内に向かって歩いていった
小脇に挟んでいた新聞を玄関の中に入れて荷物を玄関の床に置くと緊那羅(きんなら)もその場にしゃがんで女性を待つ
「うぇ…ふぇっ」
「……?」
微かに何か泣き声のような声が聞えた
「ふえっふぇっ」
今度はハッキリと泣き声が聞えた
「荷物…からきこえるっちゃ…」
女性から預かった荷物から聞える泣き声
脚からの預かり物ということと開けるのが少し怖いということで開けるのを躊躇っていた緊那羅が荷物のファスナーを動かすと
「ふぇぇえ!! ふぇえええ!!」
泣き声が玄関中に響いた
「…あ…赤ちゃん!?;」
小さな手袋をはめた手で懸命に宙を掻き何かを探して泣いている
顔が赤いのは泣いているせいか息苦しかったせいか
「は…ハルミママさん!; は…もう境内…にいってる時間だっちゃ…; …京助ーッ!;」
「ふぇえええええええ!!」
緊那羅が京助を大声で呼ぶと赤ちゃんがそれに驚いたのか一層大きな泣き声をあげる
「どっ…どうしよう;」
オロオロと赤ちゃんの入った大きな鞄と家の奥を交互に見る
「…とりあえず…ここから出して…;」
泣き喚く赤ちゃんの背中に手を入れてゆっくりと鞄から出すと危なっかしい手つきで背中を軽く叩きながらリズムを取ると泣き声が止んだ
「…泣き止んだ…;」
緊那羅が安堵の息を吐く
静かになった玄関には雨の音しか聞こえず
誰かがやってくる足音いはいっこうにしない
「…まさかとおもうけど;」
緊那羅は最悪の予想を頭の中で考えていた
「……」
休日なのに緊那羅の声で起された京助が数回瞬きをして目をこすり脇腹を掻いた後に目を細めて緊那羅の腕の中をじっと見る
「……赤ちゃんくらいで起すなよ…」
でっかい欠伸をして緊那羅に背を向けて歩き出そうとして京助が止まった
「…お前が産んだとか?」
「ちがうっちゃッ!;」
「ふぇえええ!!」
緊那羅が京助の言葉に怒鳴り返した声に驚いたのか赤ちゃんが泣き出した
「うぁああ!!; よしよし」
慌てて緊那羅があやす
「…お前妙に似合ってるぞソレ」
必死で泣き止ませようとしている緊那羅に京助が口の端をあげて笑いながら言った
「どれ、かしてミソ」
一向に泣き止まない赤ちゃんを緊那羅から受け取ると京助が手馴れた手つきで背中を軽く叩きならが体を揺らし始める
「…あ…泣き止んだっちゃ…」
まだフンフン鼻は鳴っているものの泣き止んだ赤ちゃんに緊那羅が微笑む
「ほれ」
泣き止んだ赤ちゃんを再び緊那羅に返すと京助が寝癖のついた頭を掻きながら赤ちゃんの頬をつついた
「で…コレはどうしたんよ?」
やっと本題に入るらしく京助が聞いてきた
「あ…んと…さっき新聞取りに行ったら参拝の間預かってくれって言って渡された荷物の中に入ってたんだちゃ」
緊那羅が赤ちゃんの入っていた鞄に目をやった
「…その参拝客コウノトリだったりしてな」
京助が笑いながら赤ちゃんの入っていた鞄の中を見て鞄の中に手を入れる
「…紙おむつ…粉ミルクの缶 (携帯サイズ)…哺乳瓶に…」
次々に鞄の中身を出していく京助の傍に緊那羅が座って一緒に鞄の中を見る
「…手紙」
最後にタオルの下にあった手紙を京助が取り出した
「…京助…私さっきから凄く嫌な予感するんだっちゃ;」
緊那羅の言う【嫌な予感】というのは緊那羅の髪を口に含んで吸っている赤ちゃんのことではないと思われる
「…俺もです緊那羅さん…」
京助も遠くを見つめながら手紙を開いた
作品名:【第五回・禄 】白い天使に懐かれた 作家名:島原あゆむ