小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

幸せ

INDEX|4ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

オレは毎日毎日、飽きもせずに病院に通い続けた。

まるであの日のお前のように。












「綺音、なんか食べたい物とかない?」
「んー、今は腹いっぱい。」


あれから3ヶ月。
オレはいつもどうり学校帰りに病院に寄るのが日課になっていた。


だけど、今日は少し綺音の様子がおかしかった。
どこか、落ち着きない、ソワソワしている。




「…どうかしたか?」
「ん、あ、いあ、んと。」



やっぱり、落ち着きない。



「なんだよ」
「あの、さ……俺のお願い、聞いてくれるか…?」
「ん、あぁ」
「なんでも…?」
「うん」
「ほんとに…?」
「あぁ」
「嘘じゃない?」
「……うぜぇ…」
「ひどっ!」
「っ…いいから早く言えよ」
「あ、その…」
「……」
「……キス、していい、か…?」




コイツ…。
男同士だぞ…。




「…ゲイなのか」
「へ?ぁ、分からん」



…どうするかな…。
オレ今、マジで悩んでる。

コイツのいう事、なんでも聞いてやろうって決めた。
その理由が同情なのか、なんなのかは、今のオレにはよく分からないけど。
それでも、尽くそうと決めた。けど男同士でキス…とは…。



「…お前がしたいなら、してやるけど…」
「ま、マジで!?」
「ただ、その………男同士でキスして…何が嬉しいんだ?」
「へ……?」



綺音はうーんとか言いながら首をうねらせて考えている。
とくに何も考えてなかったのか…。




「てか、お前、オレのこと好きなんだ…?」
「うん。結構前に好きって言ったじゃん」
「……恋愛対象としてかよ…」
「うん。伝わらなかった?」
「………さぁな。」



なんとなく恥ずかしくて視線を背けると、綺音の大きくて細い。綺麗な手がオレの頬を撫でた。




「なぁ、由紀は俺ん事、好き?」
「………さぁ。」
「えー、なにそれ、そんな曖昧じゃキス出来なーい」
「……別に、すればいいだろ」
「んーー、俺さ、両思いのキスがしたい」
「…はぁ?」
「こう、どっちも相手のことが大好き!って状態のキスがしたい」
「…………」
「駄目?」
「…………綺音」
「ん?」




オレはたいそう、コイツに甘いらしい。
多分、コイツが抱かせろって言ったら、抱かせてしまうかもしれない。
そのぐらいコイツに…綺音に甘くなってしまったらしい。











「………好き」










その言葉ごと、オレの唇は綺音の唇に食われた。





作品名:幸せ 作家名:れん