幸せ
小学生の頃。家族が一家真珠して、自分だけたまたま助かって、そのまま親戚やら何やらと家を転々としてた。
周りの大人たちはオレの事すごく嫌ってるみたいで、だから、オレも、
みんなを嫌った。
「よろしく」
オレは高校生になり、親戚のおばさんの家を出てぼろいアパートに一人暮らしを始めた。
ちょうどそのころオレの隣の席の男子生徒、綺音とかいうヤツがやたらとオレに絡むようになってきた。
どっちかっていうと一人で居るほうが気が楽なオレはひたすらソイツを避けた。
けど、ソイツはそれでも毎日毎日、しつこくオレに朝の挨拶に、無理やり昼飯、無理やり下校。
毎日毎日、飽きもせずにニコニコしながらソイツはオレに絡んでくる。
まるで犬だ…。
とある時、さすがに我慢の限界がきたオレがヤツに怒鳴った。
「なんでオレなんかに付きまとうんだ」って。
そしたらソイツはすごくスットンキョンな顔をした後に、笑顔でオレに
「好きだから」
オレは深くため息を吐き出して、また歩き出した。
それでもヤツはまたひょこひょこ犬のように付いて来た。
オレはヤツに顔を見られないように、斜め前を早足で歩いた。
あんな言葉に、泣きそうな自分を見られたくなくて。
だけど、そんな日々は長くは続かなかった。