二人の孤独
そして今、彼の体温は重厚に折り重なった絶望に近い私の孤独を丁寧に解きほぐしていた。私は体を離して彼の少し湿った温かな手を取った。そうか…両親は私に愛する自由をくれたのかもしれない。私が私の人生の中だけで選択できる愛を。死ぬことの価値は分からないけれど、彼と生きていこう。そう、決心した。
終章
僕の鼓動は泣き疲れた子供のように静かに、落ち着きを取り戻していた。握りしめた彼女の手の体温は僕の手と同じだった。
いつになっても現実に歩み寄れない僕の心は、彼女に手を引かれ、気付けば出会う前にいた場所も思い出せないくらい遠くに来た。そして躊躇していたのを馬鹿らしく思うほど、今は生きているという実感がある。今日ここまで来てよかった。僕は繋がれた手の感触だけが、どこか遠くの世界の陽だまりにあるようだった。