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鬼の瞳

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夢を見た。
 鬼の夢だ・・・
 白い羽衣を纏い、片手に鋭利な日本刀を持ち。先端から血が滴り落ちているのが鮮明に見えた。
 表情を窺い知る事は出来はしなかったが、振り返った瞳は、真っ赤な血のように紅かったのを覚えている。
 戦う事を好んでいるかのようなその瞳を見ていると、今までに感じたことのない様な恐怖に満ちていく様だった。
 最近は、そんな夢を見る事の繰り返しで、夜中に何度も目が覚めた。
「疲れてんのか?・・・」
 途端に横から顔を出されて驚いた。
「うぉ!・・・・・てめ、いつの間に此所に来たんだよ。・・・・・」
「ついさっき・・・」
 横に居たのは、仕事中には見たくなかった顔だった。
 周りの風景から逸脱したような白い髪に、何処を捜しても居ないような色をした目を持つこいつは「坂田銀時」だ。
 銀時とは、秘密裏に付き合っている。
 自然の成り行きでこうなったと言ったら怒られそうだが、事実そうだ。
 吹っ掛けて来たのは此奴で、「付き合ってみないか?」の一言で全てが始まった訳だが、今となっては無断で屯所に顔を出しに来る始末。
 此方としては凄く嬉しいことではあるが、誰かに見つかりでもしたらどう対処していいのか判らなくなってしまう。それに、出来る事ならに顔をひょっこり出すのは止めて頂きたいものである。
「『ついさっき』じゃねーよ!仕事中に来るなって言っただろうが!」
 土方は、少しきつい口調でそう言い放った。それに対して銀時は、ほんの少しだけびっくりしたような顔で「わりぃーかよ!会いたかったから危険も承知で毎回のように此所に来てんだよ!!」と、強く言い返した。
 端から見たら子供の言い争いのようにも見えるが、之が普通で日常茶飯事の出来事だ。
「きちまったもんはしょーがね。大人しくしてろ・・・・・・」
 俺は子供か。と、内心思いつつも「へーへー・・・・」と気のない返事をしながら、畳を敷き詰められた床の上に腰を下ろした。
作品名:鬼の瞳 作家名:鵡劉