小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

第二章 第二話 出兵してから最初の試練

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

「しかし今まで敵一人にも会わなかったな。」
「そうだねー。まだ来てないのかな?」
一緒にしゃべっているのは船で仲良くなった三船君。
僕達が所属している一斑には他にも同じ学校の子がいるんだ。
「だけどこの剣術部隊って少ない人数だね。どうしてだろ?」
「この剣術部隊は総勢200名を超えて一斑から100班まであるんだぞ。」
「総隊長殿。」
ぼく達の質問に答えてくれたのは西王中佐(ざいおうちゅうさ)で剣術部隊長でもあり一斑の班長でもあるんだ。
「君達が入る前に部隊編成をしてね今は各地で剣術部隊が活躍しているぞ。南は暑いところから北は寒いところまで。私達はまだいいほうだぞ。」
とても優しい人が上司でよかった。

そして駐屯所にたどり着き各人で荷物を整理したりご飯を食べたりした。
「源五郎君。僕の友達は北の方へ行ったんだ。」
「北かぁ。寒そうだね。」
「絶対に寒いと思うよ・・・・大丈夫かなぁ。」
「大丈夫だよ。僕達も頑張ろう。」
「あぁ。」
その時だった。
カランカランと竹鳴らしが鳴った。
「侵入者?!」
「総員武器を持って各場所に配置!」
僕も三船君も配置に着いた。
「なんか・・・・・緊張するね・・・・」
「なんか怖くなった。」
「大丈夫だよ三船君・・・・・大丈夫。」
お互い震えた手を繋ぎながら大丈夫と言い合った。
その時どこかで爆撃音が聞こえそこにいた仲間の苦しい声が聞こえた。
「―――――――――!!!!」
「馬鹿!声を上げるな!」
先輩が僕達の口を塞いだが僕達はパニックに陥った。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
鉄拳を食らった僕達は少しだけ正気に戻った。
「わかったか!これが戦場だ!いちいち気を乱していたらけりがつかんだろう!足手まといになるのならここで自決しろ!」
これが現実・・・・これが現実なんだ。
僕はこのとき初めて理想と現実の差を感じた。
「大日本帝国軍人は決して逃げたりなどしません!」
「そ・・・そうです!僕達も行きます!」
そういって僕達も出陣した。
右も左も前も後ろも爆撃音と悲鳴だらけだったみたいだけどそれを聞く余裕なんて僕にはなかった。
そう、余裕が無かったが故に死角から狙われていることに気づけなかった。
「源五郎君!」
バアン
「え・・・・・」
今、何が起こったんだ?
なんで三船君が前にいるんだ?
なんで三船君は倒れてるんだ?
三船君から出ているものは何?
そして――――僕の手についているものは何?
「げん・・・ご・・・ろ・・・ぐ・・・ゴフ!」
「ハッ。三船君!三船君!しっかりして三船君!」
「げが・・・ない・・・・よが・・・・・だ・・・・」
「しゃべらないで。今手当てするから!」
手当てをしようと薬箱に手を伸ばすが三船君が僕の手をつかんだ。
「い゛い゛・・・・・・もう・・・・・・ぼぐ・・・たず・・・・ら・・・ガハッ!」
「お願いだからしゃべらないで!本当に死んじゃうよ!」
三船君の痛々しい姿を見て僕は知らないうちに涙が出ていた。
「げんご・・・・あえ・・・・よか・・・・た」
それを最期に三船君は喋らなくなった。
手も足も動かなくなった。
目も閉じることは無かった。
「うあああああああああああああああああああ!!!!」
ぼくはパニックに陥りそれからの記憶は覚えていない。