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りんみや 陸風5

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「・・・まあ、それはそうだろうけど・・・・私は大概に変り者だと言われてるから。」「それは大丈夫ね。私のパパも大概の変り者だから、あなたと瓜二つの人よ。だから、おとうさんは、あなたならって奨めたんだもの。」
 真理子は城戸の戸惑いに笑ってみせた。城戸の人となりなど気にはしない。やさしい人だろうと漠然と感じている。林太郎と似ていると佐伯の父は奨める理由を述べた。敬愛するりんと似ていると言われれば、真理子も納得する。真理子には城戸の波動が視えている。りんと同じような波動だ。かなり近しい。
「私はパパが大好きなの。確かに変り者だとは思うけど、それは悪いほうに変わっているんじゃないもの。・・・佐伯と水野に話を通すわ。今夜から、私の部屋にきてね、リッキー。」
「えっ? ・・・まいったなあ、いきなりかい? 籍を入れてからにしてくれないか。」
「人間が堅いほう?」
「・・・さあ? ・・・考えたこともない。・・・リベラルではないな。ゆきを抱いてみたいって思ったことは一度もなかったから。」
 ただ依存されていることに満足していた。今、腕のなかにいる子供も同じようにしてくれている。恋愛を生産するのが面倒だった。肉体的なことはお金で処理できた。そういう生活が通常だった城戸には、今更、DGのような真似は到底できない。結婚してからでないと、というのは城戸に時間的な余裕が欲しかっただけだ。いきなり求婚されて、その夜から同衾してくれと言われては、城戸にも抵抗がある。
「マリーの考えているような意味ではないと思うよ。単に驚いてて神経がついていかないから断ったんだ。」
「うーん、そういうものかしら・・・私にも今一つ理解できないわ。」
 どちらかといえば、真理子は気性が男っぽい。同じベッドで眠るぐらいは、さほどの抵抗はないのだ。
「・・・それじゃあ、正式に入籍してからにするわ。それと、私はリッキーと呼べばいいかしら? 『ダーリン』とか『旦那様』は却下よ。それは嫌なの。」
「別になんでもいい・・・私は、マリーと呼べばいい? 」
「ええ、結構よ。」
 城戸の腕の中の子供の意識を戻す。子供はブリブリと怒っているが、母親が城戸を父親にするからと説明すると、嬉しそうに城戸に抱きついた。
「パパになるの? りっちゃん、もう、どこにも行かないのね。」
「ええ、リッキーがあなたのパパよ・・・これからは親子で仲良く暮らすから、美愛もママをのけ者にしないでね。」
 それが本心からの言葉だ。亡き夫と同じ面差しの娘は、母親の言葉に頷いた。
「しないけど、りっちゃんは美愛のだからね。ママはゆきがいるからいいでしょ? 取っちゃ駄目だよ。」
「・・・それもどうなんだろうな、美愛・・・一応、戸籍上は私はマリーのものなんだけどねぇ。」
 おかしそうに子供に城戸が反論すると、子供は顔を紅潮させて城戸の首に腕を回した。
「りっちゃんは美愛のなのっっ、そう決まってるのっっ。ママにはあげない。美愛のものなんだもん。」
「まあ、いいでしょう。美愛が伴侶を見つけるまでは付き合ってやってね、リッキー。」
 わが子にここまで言われては仕方ない。この子にとって必要なら、与えてやるのが一番だ。
作品名:りんみや 陸風5 作家名:篠義