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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・弐】中島君家の家庭の二乗

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「京助!! 坂田!! 南!! お弁当だっちゃ----ッ!!」
いつもと違うのは緊那羅が抱えた弁当箱が3つだということ
そして京助の額に絆創膏が貼られていることだった
南が【愛車・ニボシ】に飛び乗り漕ぎ出すと坂田と京助が走ってそれを追いかける
「起きてたんなら起せよなッ!!;」
京助が怒鳴りながら走る
「いっやぁあまりにも安らかに眠っていらしたもので」
ハッハと坂田が笑いながら走る
「だからって寝てるヤツにやるお約束の悪戯をするな悪戯を!!; しかもマッキーで!!」
「筋肉ニクニクにくじゅうはち~♪」
怒鳴る京助に歌う南
どうやら京助の額の絆創膏の下には【肉】と油性ペンで書かれているらしい
しかも三枚使って隠しているということは結構大きな文字で書かれているのだろう
「お? アレに見えるは短期家出少年!! お----い!! なっかじま----!!」
南が前方を走る後姿に向かってニボシを走らせる
「中島?」
南を追いかけるように坂田と京助も少し速度を上げて走った
「はよさん中島!」
南がニボシに乗りながら中島の背中を叩いた
「よっス! 南!」
それに対し笑顔で返す中島
「おーーっス!! 家出少年!」
坂田が中島にタックルをして挨拶をする
「はよさん京助坂田…ってお前デコどうしたよ;」
走りながら中島が京助の額を見て言った
「コイツは今朝筋肉星の洗礼を受けたんだ」
坂田が京助を指差して言う
「…肉か」
中島が言うと
「ピンポン!」
南と坂田がハモった
「やかましい!!;」
京助が坂田を叩くと中島が笑った
「で?蜜柑さん…」
「ゆ-ちゃ-ん!!」
南が蜜柑の名前を口にすると蜜柑の声が後ろから聞こえた
「ゆ-ちゃん筆入れわすれてる--!!」
スカートを思い切り風になびかせて蜜柑が自転車を立ち漕ぎして近づいてきた
「蜜柑!! パンツ見えてるってば!!」
その後ろから同じく自転車を漕いで林檎が叫んだ
「…白」
坂田と京助が言うと中島が二人を叩いた
「に紫の花柄」
それに南が付け足す
「ほら!! もう…どうして筆入れが洗面所にあるわけ?」
蜜柑が中島に筆入れを手渡す
「さんきゅミカ姉」
筆入れを受け取って中島が笑う
「蜜柑!! 遅刻!!」
いつの間にか蜜柑を追い越した林檎が自転車を止めないで蜜柑に向かって叫んだ
「わかってる!! じゃね! …あ! そうだ今日は忘れないでよ!? お醤油買うんだから!!」
蜜柑が自転車を漕いで林檎の後を追いかける
「…朝からいいもん見たナァ…」
坂田が頷くと京助と南も頷いた
「…俺のも見せるか?」
中島が言うと
「丁重にお断りいたします」
京助が顔の前で手を振った
「結局蜜柑さんってどうしたわけ?」
京助が中島に聞く
「あぁ…5年たったら進学するんだって」
中島が言った
「5年!?」
中島以外の三人がハモる
「5年って…今生まれたお子様が幼稚園に上がる年ですよね?」
南がなぜか敬語で言った
「そ。5年経ったら俺も高校でてるしそれまで働けば学費貯まってるからって」
「考えやっぱ大人だよナァ…そうだよなー…別に今すぐ進学しなくたっていいんだもんな」
坂田が感心して頷く
「俺とりん姉それを聞かないで昨日…;」
中島が苦笑いする
「…お前と林檎さん間違いなく兄弟だよな」
京助が笑って中島の肩を叩く
「周り見えなくなるってとことか?」
南がにかっと歯を見せた
「仕方ねぇじゃん;兄弟なんだから;」
中島が苦笑いで返す
「…ところで今何時よ」
坂田が和やかムードに水を差した
そして始まるしばしの沈黙
遠くから聞こえる途切れ途切れのチャイムの音と近くから聞こえるどこかの阿呆犬の吠え声
チャイムが鳴り終ると同時に歩き出した四人
「…人生急がば回れだよナァ」
妙に悟ったように京助が言った
「今ココで使っていいものなのかは別としてな」
中島がそれに突っ込んだ