天気予報はあたらない
気がついたら、電車に乗っていた。
あのあと、何故か家に帰る気になれなくて足は駅へ向かっていた。切符を買い駅の改札口を通り抜ける。最初に来た電車に乗り込んで、都心へと向かう。とりあえず、最初のターミナル駅で環状線に乗り換えると、そのまま意味もなく携帯電話をいじって泊まれそうな友人を片っ端から探す。とにかく、誰かと一緒に居たかった。誰かといなければ、得体のしれない大きいものにつぶされてしまいそうだ。
――これって、今日言われた、推薦合格者の心得の夜間非行の禁止に当たるのかな。
そう思うが、ここで補導されて推薦を失うのも悪くないと思った。監督には迷惑をかけてしまう。もしそうなったら、責任をとって学校をやめよう。もしそうなったら、どこかでひっそりと死ぬのかもしれない。
昔、環状線に乗っていたときに、つい居眠りをしてしまって一周してしまったことがある。駅員さんに起こされて気がついたのだが、自分がの乗った時間から推測するに、いつの間にか電車は二周半していたようである。
駅員さんは言う。
『君、終点ですよ。』
なんと、環状線なのに、終点があったのだ。
全部の電車がずっと終わりなく回り続けているわけではないのだ。そう思っていた当時の自分には限りなく驚いた出来事であった。
作品名:天気予報はあたらない 作家名:雨来堂