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夜空の漂流船
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その日は、初めてふたりでホテルに泊まった。
僕は、はじめて見る聡美さんの寝顔をしばらく見たあと、天井のあたりを見つめていた。ほのかに聡美さんのシャンプーの香りがして、少し泣きたい気分だった。
目を閉じると、体がベッドごとふわふわと浮いているような気がした。
その部屋が、僕と聡美さんのふたりを体の中に飲み込んだまま、東京の上空をゆっくりと漂っているみたいだった。
作品名:
夜空の漂流船
作家名:
麹町郵便局