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放課後不思議クラブ・かくれんぼ

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 はっと起きた頃も、空は変わらぬオレンジだった。ぐっすり長い時間寝ていた気がしたのに、そんなことなかったのかな。それでなくても、この時期は日が沈むのが早いのに。もう、秋だ。
 コチ、コチ、コチ……。
相変わらず、和馬の気配はない。他の人すら……。
「もーいいかい」
遠くなのか、近くなのか、やけにはっきり聞こえたのに、廊下の奥から響くような、そんな声が聞こえた。「もーいーよ」て、答えなきゃ。でも、おかしい。
今のは、確実に、女の子の声だった。
ミナ? いや違う。希代? そんなわけない。私たちと同じように、かくれんぼをしている人たちがいるの?
……心臓が、急に暴れ始めた。どうして。
ドッ、ドッ、ドッ……。
座り込んで抱えていた膝をゆすり、しびれを紛らわせた。なんだか、肌寒い。陽が落ちたから?
ドッ、ドッ、ドッ……。
「もーいいかい」
今度も、はっきり聞こえた。けれど、さっきと違って、『だいぶ近い』。
なんで。和馬はどうしたの。圭一は。ミナは。誰か!
私は一層縮こまるように膝を抱え込んで、目をつぶった。

コチ、コチ、コチ……。
ドッ、ドッ、ドッ……。

「みつけた」
かわいらしいその声に、私は顔を上げることが出来なかった。


「おい、起きてよ慎也」
強い力で肩を揺すぶられ、私の意識は浮上した。
「っ、圭一?」
「逸深、見つけた」
そこにいたのは、圭一と和馬。やっぱり圭一は一番最初に見つかったのね。圭一が手を差し出してくれた。それを掴んで、私は立ち上がる。少し埃っぽくなった気のするスカートを軽く払い、大きな伸びをした。和馬は、他にも誰かいないかと、ハムスターの様にちょろちょろ教室じゅうを見て回っていた。ガタイの良い男が、情けない。
「二番目かぁ。圭一、チクったでしょ」
「言ってない言ってない!」
「次はミナだな!」
「ミナなら、自販のとこかなぁ……」

 圭一は疑惑を振り払おうと必死で弁解し、和馬は意気揚々と早歩きで行ってしまった。私は、圭一と一緒に、まったりと和馬のあとをついていく。

夢だったのか、いや……。
空はすっかり深い青のカーテンがかけられ、たくさんの明かりの灯った神社の方からは愉快な囃子がきこえた。