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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回・弐】召しませ玉子酒

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「えーぃっきゅしゅ!!」
秋晴れの空に高らかに響いたのは京助のでっかいくしゃみの音だった
物置の中から縁側の外戸を運び出していた京助はズッと鼻をすすった
「京助風邪?」
母ハルミが京助の額に手を当てる
「あ~ちゃうちゃう; 埃っぽく…て…ひ…ひぇくしょっ!!」
「汚ッ!!」
再びくしゃみをした京助に母ハルミが手を引っ込める
昼間は残暑が厳しいといっても朝晩はかなり冷え込むようになってきたということで縁側に外戸を取り付けることになった栄野家では母ハルミと京助が夏に物置にしまいこんだ外戸を運び出していた
「アンタこの間濡れて帰ってきたでしょ? だから風邪引いたんじゃないの?」
肩で鼻水を拭っている京助に母ハルミが言う
「だから違うって; 埃が…ほ…ひ…ぃえっきゅしゅっ!; …すまん;」
母ハルミにかからないよう後ろを向いてくしゃみをした京助だったがそこには緊那羅がいて緊那羅(きんなら)にくしゃみがかかった
「京助昨日からくしゃみしてるよ~?」
緊那羅の後ろにいて京助のくしゃみの洗礼を免れた悠助がひょっこり顔を出す

「馬鹿は風邪引かないっていうけど念のため熱測ってきたら?」
母ハルミが腰に手を当て言った
「大丈夫だっての;っとに…」
そういって京助は外戸を持ちあげた
「…ふ…えぃっきゅしょぃっ!!」
ゴス
京助の足の上に外戸が落下した

たり…ズズズ…
…たり…ズー…
「京助…;」
「あ?」
ひっきりなしに鼻をすする京助に緊那羅が声をかけた
「…やっぱり風邪ひいてるんじゃないんだっちゃ?」
緊那羅がティッシュの箱を渡すと京助は勢いよく鼻をかんだ
「引いてねぇって;」
フンと鼻を鳴らしてテイッシュをゴミ箱に向かって投げたが外れ結局立って拾ってゴミ箱に入れた
「でも顔赤いっちゃ」
緊那羅が立ち上がり京助の額に手を当てる
「…熱…あるんじゃないっちゃ?」
緊那羅は京助の額から手を離すと自分の額にも当て温度を比べる
「お前の手が冷てぇからだろ~?; 熱なんてねぇって;」
京助が苦笑いで緊那羅の横を通り過ぎた

「…京助~」
「あ”? ん”んんっ」
悠助に呼ばれて返事をした京助だったが声がかすれている
「…声変だよ?」
悠助は心配そうに京助の顔を覗き込むと

ゴン

「…悠;痛ぇんだけど;」
熱を測ろうとしたのか悠助がいきなり頭突きをかましてきた
「熱いよー!! 熱ある---!!」
「ねぇっ…ひ…ふくしゅっ!!」
反論しようとした京助だったがくしゃみで出来なかった
「風邪ね」
「風邪だっちゃね」
「かーぜー!!」
母ハルミ、緊那羅、悠助に【風邪】と判断された京助は三人によって自室の布団に強制連行された