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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回】わき道・寄り道・帰り道

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いきなり降り出した雨の中京助は走ることもなく家に続く坂道を濡れながら歩いていた
「おかえり~京助~」
その声に坂の上を見ると鮮やかなオレンジ色の傘をさして悠助が小走りでやってきた
「コケるぞ~」
笑いながら腰に抱きついてきた悠助を受け止めた
「京助ずぶぬれ~…風邪ひいちゃうよ?」
黄緑色のカッパを着た悠助が京助を見上げた
「引かねぇよ。…どっかいくのか?」
「僕お買い物いくんだ」
「買い物?」
京助が聞くと悠助がカッパのポケットから紙切れを取り出して京助に見せた
【とりのももにく 500グラム】
紙切れにはそう書いてあった
「一人で大丈夫か?」
京助が濡れた前髪をかきあげながら聞くと悠助は紙切れをポケットにしまいながら少し膨れて
「大丈夫だよぅ一年生だもん。ついてきたら怒るからね!!」
と言った
「まったくもう…緊ちゃんもけんちゃんも京助もハルミママも心配性なんだから~」
「けんちゃ…乾闥婆いるのか!?;」
乾闥婆は悠助に『けんちゃん』と呼ばれている
「うんいるよ? だから僕がお買い物行くの」
「乾闥婆と鶏肉の繋がりがわかんねぇ…;」
どう考えても【乾闥婆=鶏肉】式がなりたたず京助は坂の上の我が家を見る
「じゃぁ僕もういくね~」
オレンジ色の傘が京助の横を通り過ぎる
「気をつけろよー」
オレンジ色の傘に向かって京助が声をかけると悠助が振り返り手を振ってやや小走りで坂を下っていった
悠助の傘が見えなくなると京助は家に向かって歩き出した
「…何しにきてんだ…?」

乾闥婆が何しにきているのか気になったのか歩く速度を少し上げ石段は一段飛ばして登って玄関前まで来た
「ただいま~っと…」
玄関を開けると夕飯の支度なのか家の中に篭っていたいい匂いが外へと流れ出る
京助の声を聞きつけたのかヒマ子が庭から鉢をゴトゴトいわせながらやってきた

「まぁ!! 京様! ずぶぬれじゃございませんか! いけませんわ!! お風邪を召してしまいますわ!!」
ヒマ子が声を荒げて言うとパタパタという足音と共に緊那羅が出てきた
悠助にやられたのか今日もポニーテールが三つ編みだった
「水の滴るいい男ですわ京様」
「…緊那羅タオルくれ;」
ヒマ子が京助にそっと抱きつくと京助は顔を引きつらせる
「わかったっちゃ」
その様子を見て緊那羅が笑いながらタオルを取りに向かった