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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回・参】無視から始まるサバイバル

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「んのクソ親父!!」
ゴスッ という音からして坂田が坂田父を殴ったことがわかる
「若!!;」
柴田が小走りで坂田に駆け寄ると京助達も後に続く
握り拳を作ったまま坂田父を見下ろす坂田の目つきはきつかったがどこか寂しそうだった
「…深弦…」
幅広のサングラスがずり落ちて見えた目は坂田そっくりだった
「組長」
柴田が坂田父の腕を掴み立たせる
「…頑張ってください」
柴田は坂田父に向かいそういうと坂田父の手から携帯を抜き取った
「君等はこっちきてくれるかな。お前等は各自持ち場に戻れ!」
南と京助の背中を押して坂田父と坂田から離れると柴田は組員に向かって叫んだ
「ウース!!」
むさい声がそろって聞こえぞろぞろと組員が部屋から出て行く
京助達も柴田と共に部屋を出た
沈黙が続き坂田父の顔が真っ赤になり顔をそらすと坂田が睨んだ
「み…」
必死に何かを言おうとしだした坂田父を坂田は鋭い目つきのまま黙って見る
「み…つる…」
「なんだよ」
名前をやっと口にした坂田父に坂田がやや早口で返事をした
「…み…つ…」
「名前は一回でいい」
ズバッと坂田が言った
「…た…お…お…」
「話すときは人の目を見て大きな声で!」
坂田が声を上げる
「…どっちが親なんだよ;」
少し開けた襖から中の様子を見ていた南がボソっと呟いた
「…アレで組長務まってるんだから不思議だよな…」
京助が呆れ顔で言うと
「あんな組長だからこそ組長務まっているんだよ」
柴田が笑顔で京助の肩に手を置くと緊那羅の痛い視線を感じたのかすぐ手をどけた
「…おめ…でと…う」
「……さんきゅ」
一体何分かかったのかやっとのことで坂田父が坂田に直接おめでとうを言った時一斉に周りの襖が開いて組員歓声を上げながらがなだれ込んできた
「持ち場にもどれって言ったのに…」
柴田が襖を開けながら溜息をついた
「…これから宴会になる様子だけど…参加していってくれるかい? お詫びもかねて」
柴田のその言葉に顔を見合わせていた京助達の元に小さな花束を持った坂田がやってきた
「あ…それ」
京助が車の中で見た花束だった
「14の息子に花束って…」
中島が苦笑いした
「それ組長が姐さんに告白した時の花束と色違いなんですよ」
柴田の言葉に花束に視線が集まる
「組長は本当に大切な人にだけこの花贈るんです」
坂田が坂田父のほうを振り返ると組員に背中を向け壁にへばりついていた
「あぁ;組長!」
柴田が坂田父の携帯を持ってきてしまったために何もできずにいる坂田父の元に走った
「お前等!! どけ! どけって!!」
柴田が組員をかきわけていく
「お前の親父さんロマンチストだな」
「うっさい」
南の言葉に坂田が照れくさそうに言った
「…なぁ…」
京助の声に振り向く
「…柴田さんって…いくつなんだ?」
坂田父と坂田母の馴れ初めを知ていた柴田
「…そういや柴田…俺が小さいと時から外見変わってねぇ気が…」
坂田が花束を肩に乗せて呟いた