【第三回・参】無視から始まるサバイバル
夏休みが手を振りながら去っていって今日で2日目
『おはよー』とかいう声があちこちから聞こえる通学路で中島は前を歩く見慣れた制服の尻尾髪を見つけた
「よっす坂田!」
小走りで駆け寄ると隣に並んだ
「はよさん」
坂田が片手を挙げて挨拶した
「若-----!!」
突然ゴッツイ大声がしてそこら辺の人々が声の方向を振り返った
中島と坂田もしかり
目に入ったのはオールバックの黒髪に紺色のスーツを着て片手にB5サイズの封筒を持ったちょっとガタイのいい青年
「…三浦…;」
封筒を振りながら坂田めがけて駆けて来る【三浦】というらしい青年を見て坂田がガックリ肩を落して溜息をついた
「忘れ物っス! 若!!」
三浦は坂田の前で止まり頭を下げて封筒を差し出した
「…若って呼ぶな…;」
周りの痛い視線を受けながら封筒を受け取り坂田が言った
「じゃぁ若組長」
「もっとヤメロ」
封筒を縦にして三浦の頭をチョップした
「…新人さんか?」
中島が三浦を見て坂田に聞いた
「…あぁ、この前まで本家にいたらしいんだ」
封筒を肩からかけた鞄に入れながら坂田が言った
「若のご友人で! 俺は三浦っつうモンです!! 以後よろしゆうたのんます!!」
三浦が大きな声で中島に挨拶した
坂田の家はいわゆる【組】というもので坂田はそこの三代目の息子
いわば【坂田組三代目組長】ということになる
坂田の家は分家にあたるが本家というのは結構でっかい組織で人数もかなりいる
「…ところで若…組長のことなんですが…」
三浦が顔を上げて坂田を見た
「…放っとけ。アイツが悪ぃんだ」
坂田の機嫌が悪くなる
「でも若…」
三浦がオロオロし始める
「放っておけってんだろが!!」
巻き舌加減がすこし入った口調で坂田が怒鳴ると三浦が頭を下げた
「…封筒サンキュ。いくぞ中島」
早足で歩き出した坂田を中島が追いかける
「…オヤジさんとまた何かあったのか?」
中島が恐る恐る聞いてみる
「…別にいつものソフト無視してるだけだ」
【説明しよう【ソフト無視】とは完全無視の一歩手前の無視で話しかけられても『ふーん』とか『あっそ』とかいうつれない返事を返すだけの事をいうのだ】
「おーぃっス!! はよーぅ! 遅刻すんぜー!!」
シャーという車輪の音と共に南が二人の横を自転車で通って電信柱の近くに止まった
「なぁさっきゴツイスーツマンみたんだけどさ」
南が自転車を押して二人に駆け寄る
「三浦ってんだとさ」
中島が『よ』と片手を挙げて挨拶すると南がその手を叩いて『オス』と言った
「やっぱり坂田んトコのか」
三人並んで歩き出す
「にしても坂田のオヤジさん人望あるんだなぁ…そのうちこっちが本家になるんじゃねぇの?」
南が坂田の父親を褒めると中島も頷いた
「…あんなクソ親父…」
それに引き換え坂田は機嫌が悪い
キーンコーン…カーンコー…ン…
スピーカーの調子が悪いのかかすれかすれのチャイムが聞こえた
「…京助は今日も遅刻らしいな」
駆け足で校門を通りながら中島が言った
「いつものことだっちゃーん」
南が笑いながらキンナラムちゃん語で言うと自転車置き場まで置きにいった
「…記録更新だな」
中島が呟いた
『おはよー』とかいう声があちこちから聞こえる通学路で中島は前を歩く見慣れた制服の尻尾髪を見つけた
「よっす坂田!」
小走りで駆け寄ると隣に並んだ
「はよさん」
坂田が片手を挙げて挨拶した
「若-----!!」
突然ゴッツイ大声がしてそこら辺の人々が声の方向を振り返った
中島と坂田もしかり
目に入ったのはオールバックの黒髪に紺色のスーツを着て片手にB5サイズの封筒を持ったちょっとガタイのいい青年
「…三浦…;」
封筒を振りながら坂田めがけて駆けて来る【三浦】というらしい青年を見て坂田がガックリ肩を落して溜息をついた
「忘れ物っス! 若!!」
三浦は坂田の前で止まり頭を下げて封筒を差し出した
「…若って呼ぶな…;」
周りの痛い視線を受けながら封筒を受け取り坂田が言った
「じゃぁ若組長」
「もっとヤメロ」
封筒を縦にして三浦の頭をチョップした
「…新人さんか?」
中島が三浦を見て坂田に聞いた
「…あぁ、この前まで本家にいたらしいんだ」
封筒を肩からかけた鞄に入れながら坂田が言った
「若のご友人で! 俺は三浦っつうモンです!! 以後よろしゆうたのんます!!」
三浦が大きな声で中島に挨拶した
坂田の家はいわゆる【組】というもので坂田はそこの三代目の息子
いわば【坂田組三代目組長】ということになる
坂田の家は分家にあたるが本家というのは結構でっかい組織で人数もかなりいる
「…ところで若…組長のことなんですが…」
三浦が顔を上げて坂田を見た
「…放っとけ。アイツが悪ぃんだ」
坂田の機嫌が悪くなる
「でも若…」
三浦がオロオロし始める
「放っておけってんだろが!!」
巻き舌加減がすこし入った口調で坂田が怒鳴ると三浦が頭を下げた
「…封筒サンキュ。いくぞ中島」
早足で歩き出した坂田を中島が追いかける
「…オヤジさんとまた何かあったのか?」
中島が恐る恐る聞いてみる
「…別にいつものソフト無視してるだけだ」
【説明しよう【ソフト無視】とは完全無視の一歩手前の無視で話しかけられても『ふーん』とか『あっそ』とかいうつれない返事を返すだけの事をいうのだ】
「おーぃっス!! はよーぅ! 遅刻すんぜー!!」
シャーという車輪の音と共に南が二人の横を自転車で通って電信柱の近くに止まった
「なぁさっきゴツイスーツマンみたんだけどさ」
南が自転車を押して二人に駆け寄る
「三浦ってんだとさ」
中島が『よ』と片手を挙げて挨拶すると南がその手を叩いて『オス』と言った
「やっぱり坂田んトコのか」
三人並んで歩き出す
「にしても坂田のオヤジさん人望あるんだなぁ…そのうちこっちが本家になるんじゃねぇの?」
南が坂田の父親を褒めると中島も頷いた
「…あんなクソ親父…」
それに引き換え坂田は機嫌が悪い
キーンコーン…カーンコー…ン…
スピーカーの調子が悪いのかかすれかすれのチャイムが聞こえた
「…京助は今日も遅刻らしいな」
駆け足で校門を通りながら中島が言った
「いつものことだっちゃーん」
南が笑いながらキンナラムちゃん語で言うと自転車置き場まで置きにいった
「…記録更新だな」
中島が呟いた
作品名:【第三回・参】無視から始まるサバイバル 作家名:島原あゆむ