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剣道部と風に揺れる相思花

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3章 物思い。~読書妨害禁止令~


 練習試合は何とか進み、
私は絵美先輩に反則で一本取られた。そのあとは、時間切れで結局負けてしまったのだ。

どうもしっくり来ないがとりあえず最後まで終わった。
無事にとはどんなお世辞だろうと言えないが。

残りの稽古もなんとか終わり、礼を済ませて明日の練習試合に向けての準備して更衣室に入り、制服に着替える。
「ハァーーーー。」

無駄に高いため息。・・・誰だ?

「なんでスポーツドリンクの中に顔突っ込んでたんだろ。」
蝦夷・・・いや絵美先輩か。どれ少しイジるか。

「そら海の生き物だから本能的に水求めてたんじゃないんですか?ロブスターだからぁゴハァッ。」

言い終わったところで殴られた。

「暴力反対です!!」
すると沖名先輩が爆笑しながら

「絵美後輩に暴力しちゃ駄目じゃん!」

「えっ?」
不意を衝かれて固まる絵美先輩に

「うわぁ。いたぁーい。」
超棒読みで答える。

「いや、いやいやいや。暴力じゃないから。」

「ねぇー瑠璃ちゃん。蝦夷がね、清尾ちゃんに暴力振るったの!!」

「えー。何やってんの絵美。だめじゃん!」
多井先輩も平気で巻き込む沖名先輩。

「凛ちゃんも蝦夷に怒って!」

「もう何やってんの蝦夷!」

「いや。違うから!暴力振るってないから!ほら清尾ちゃん元気じゃん!」
おい。あたしに振るなっっ。ま、いじり返してやるか。

「あ~。頭がガンガンする。ロブスターの殻硬いし。」

「ロブスターじゃない!!」
バシバシ。早速叩いてるよ、私のこと。学習能力ねぇーな。

「あー!蝦夷また暴力だ。」
沖名先輩、それじゃ今さっきの繰り返しになりますが。

「もうロブスターの殻硬いんだから。叩いちゃダメだよー。」
横山先輩もロブスターいじりしだした。あーぁ。

「うぅー。ひどいよぉ~!」
自業自得じゃい。とりあえず無視が得策。
先輩達が道場に行き、静かになったのはものすごくありがたい。蝦夷はうるさくて困る。

「そういえば・・・男子どこ?」
単体になった蝦夷にしては、まともな質問するなぁ・・・。やけに静かなのは男子がいないからか。

「あー。道場でまた・・・。」
立ち去りぎみの横山先輩がいいずらそうに告げた。
その後はたぶん『西篠君が怒ってる。』ってなってるはず。
立ち上がって庭園に行く。確か戸締りはまだしてない。
だからあの窓から見えるはず。今さっきは窓枠から庭園を見てた。

「見えるはずなんだけどなぁ・・・。」
誰かが窓の前に立ってて中が見えない。あきらめて庭園の冷たいベンチに座る。日陰で涼しいのはいいのだが・・・

「お前らは、袴もろくに畳めないのかぁッ。アホッ。」
西篠先輩の怒声本日も絶好調。