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エベレストは昔海だった(コラボ作品)

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 洞窟の入り口はかがんで入れる大きさだが、少しゆるい傾斜を下ると立って十分進めるほどの高さとなっている。曲がりくねった壁に沿って進むとさらに広い場所に出る。息苦しさはない。そこから3方向に進路はあるが、2つはすぐに行き止まりで、残るひとつは急こう配のくだりになっている。
 昨年の予備調査では、ここから500mの長さのロープを固定しておいた。
 今回はここにベースを置くことにしている。

 この数年の間に、外の動物が入り込んでいるようだ。昆虫類も、洞窟特有の昆虫というより、外部から入り込んだ虫が優勢になっている。目の構造を見れば分かる。その虫を狙ってコウモリまでコロニーをつくっていた。

「だれか、固定ロープの安全点検に下りて行かないといけないね」
「先生、僕と吉田君とで点検してきます。去年のこと、よく分かってますから」
 三上は昨年も私と同行し、ルート工作に素晴らしい活躍を見せてくれた。
「よし、では頼んだぞ。劣化はしていないと思うが、ボルトやハーケンが緩んでいるかもしれない。気をつけて行ってくれ。それが済めば、明日から順次装備を下ろしていくことができる。僕たちはその間にここまで物資を運び込み、ケーブルも接続しておこう」

 三上と吉田はハーネスに登攀具を携え、ヘッドランプを固定したヘルメットを締め直し、気合を入れて下りて行った。

 私の名は松本博。
 三上潤は登山経験が豊富な電子工学の専門家で32歳。無論探検部OBである。
 吉田海斗、大橋祐樹、三宅浩二、藤岡雄介らは探検部所属の3・4年生。
 他にシェルパ族のパサンとカマル。ふたりには小型発電機の管理と連絡係、そして村からの物資調達をお願いしている。
 発電機は洞窟入り口付近に設置しているので、そこからケーブルを引きこまなければならない。同時に通信ケーブルも設置していった。
 ルート開拓は三上、吉田、大橋、三宅が当たり、藤岡はベースキーパー、主として記録係であり、その他雑用といってはなんだが、多くの細かい仕事を受け持ってもらうことになっている。
 私は洞窟内の地図の作成と、生物調査をしていくことになる。