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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回】金鳥・蚊取線香

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「京助」「あのさ」
同時に口を開いてまた沈黙した
「あのさ…何でお前が蚊取線香なんだ…?」
今度は京助のほうが早かった
「蚊取線香は…忘れ物を取りに帰るっちゃ…私も…取りに帰りたかったから…ここに」
やっぱり照れくさいのか…緊那羅は俯いたまま話した
「京助と…悠助って忘れ物だっちゃ。私は…二人を守りたい…だから…」
だんだんと聞き取りにくくなっていく声で緊那羅が泣いているのがわかった
緊那羅が体の横で握り締めていた手で顔を覆うと肩が小刻みに震え始めた
「ッ…二人を…守れるように強くなる…から…」
手で顔を覆ったせいで余計聞き取りにくくなった緊那羅の声を京助は黙って聞いていたが…
「…何か俺が女役みてぇなセリフ…」
『強くなって君を守る』とかいう元祖ヒロインをオトすならこのセリフ!って感じのことを言われて京助がボソッと呟いた
「どっちかってぇとさ緊那羅のほうが女役似合うとおもわねぇ?」
「な…どういう意味だっちゃッ!!!;」
京助の言葉に緊那羅が大声を上げてついでに顔も上げた
「…よ」
顔を上げた緊那羅にヒラヒラと片手を挙げて笑顔を返す京助
「な…ひっかけたっちゃねッ!!!;」
緊那羅の目に溜まっていた涙が瞬きで流れたが後は流れてこなかった
「引っかかるヤツが悪い」
にーっと意地の悪い笑みで京助は笑う
「京様ー今緊那羅(きんなら)様…-------!? 緊那羅様の声がしませんでしたか? と聞きたかったらしい)」
緊那羅のあげた大声を聞いたのかヒマ子がゴトゴトやって来て叫んだ
折角恋敵(勝手に)緊那羅のいないうちに京助の心を奪おうと企んでいたヒマ子はあわわと後に座り込んだ

「あ…ヒマ子さん…」
緊那羅(きんなら)がヒマ子の名前を呼ぶとヒマ子ははっとして緊那羅が泣き顔であることに気が付いた
「緊那羅様…泣いてらっしゃるのですか?」
ヒマ子がたずねると緊那羅が慌てて涙を拭った
「…まさか…俗に言う修羅場…別れの痴話喧嘩というものなのでは…ということは…!!」
ヒマ子、妄想MAX
緊那羅の泣いている理由を自己満足的に自己解決してヒマ子のテンションが上がってきた
「京様はついに私のものですわ-------!!」
体をくねらせ喜びに踊り出しているヒマ子 (もう止められない)
それを黙って見ているしかない京助と緊那羅
「…あいかわらず京助が大好きみたいだっちゃね」
「…あいかわらず勝手にライバル視されてるみたいだな」
呆れながらも何だか和まされるというか癒されるヒマ子の行動(やはり植物だからなのだろうか?)
「ま…なんだ…とにかく…おかえり」
京助が緊那羅の顔を見ないで言った
緊那羅は驚いていたが目を細めて笑った
「ただいまだっちゃ」

勘違い万歳のヒマ子の喜びの踊りはそれから夕飯直前まで続き、後に緊那羅の涙の本当の理由を知ると心身的過労で葉緑体が減少したという