【第三回】金鳥・蚊取線香
夏休みも終盤にさしかかった日の夕方
「京様~? 京様~!!」
京助の名前を呼びながら家中探し回っているヒマ子がいた
部屋にも境内にも茶の間にもいなかった
「おかしいですわねぇ…ここ数日ふっといなくなられる回数が増えてますわ…」
ヒマ子がゴトゴトと鉢を引きずって庭に降りていった
ここは何故か落ち着いた
廊下の突き当たりこの間までは【開かずの間】となっていた部屋の窓辺に京助は腰掛けていた
足や腕についた青痰もだいぶ色が薄くなってきた
頬についた擦り傷も目立たなくなってきた
「俺は…」
京助は拳を握り締め額に当てた
遠くで豆腐売りのチャルメラが聞こえた
「京様~? 京様~!!」
京助の名前を呼びながら家中探し回っているヒマ子がいた
部屋にも境内にも茶の間にもいなかった
「おかしいですわねぇ…ここ数日ふっといなくなられる回数が増えてますわ…」
ヒマ子がゴトゴトと鉢を引きずって庭に降りていった
ここは何故か落ち着いた
廊下の突き当たりこの間までは【開かずの間】となっていた部屋の窓辺に京助は腰掛けていた
足や腕についた青痰もだいぶ色が薄くなってきた
頬についた擦り傷も目立たなくなってきた
「俺は…」
京助は拳を握り締め額に当てた
遠くで豆腐売りのチャルメラが聞こえた
作品名:【第三回】金鳥・蚊取線香 作家名:島原あゆむ