sfera
「 鏡の中と外気の音の箱庭 」
水を上げよう。
空気をさそう。
迷わないように、道しるべを付けよう。
外からの光を受ける皿を用意しよう。
空からの涙を感じるための硝子を準備しよう。
何時から此処にあるのか分からない柄のネクタイを締めよう。
確か数ヶ月前から存在している君の意識をぎゅっと抱きしめよう。
終わる日常に蓋をしよう。
奥の奥まで覗き込めるこの鏡を、力の限り割ってしまおう。
怪我をするだけだと分かっていても。
流れる朱色は、生命のしるし。
目にするだけでも、僕の中には喜びが生まれるのかもしれない。
止まりきった時計のネジを巻こう。
決して無理だと分かっていても。
僕は、此処から。
此処から歩みだすために。