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CROSS 第13話 『帰投』

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『……ヘーゲル! オレだ!』
山口の声が、ヘーゲルのイヤホンから聞こえてきた。ヘーゲルはすぐに、全員に聞こえるようにした。全員が耳をすませた。山口が生きていたことに、ガッツポーズをして喜ぶ隊員もいた。
『エイの悪魔が救出地点の空を飛び回っている』
「それは知っていますよ、山口さん! 「歓迎」してもらっていますから!」
ウィルが軽口をたたく。元気な証拠だ。
『そうか、しっかり「お礼」をしてやれよ! それより、オレたちの現在地なんだが、この救出地点につながる門の近くの物陰だ』
「こっちで場所を割り出しますので、もう少しその場に隠れていてください」
佐世保の声もした。彼女は、特殊ゴーグルの発信機から山口たちの現在地を探しているのだった。
『わかったけど、早くしてくれよ。こっちには、悪魔を呼び込む霊魂がいるんだからな! いてっ!』
最後にぶつかる音がした。それは、妖夢の霊魂が山口にぶつかった音だった……。
「あと2時間35分しかないので、もちろん急ぎますよ」
『もし無理そうなら、おまえらだけで逃げろ』
「無理してかっこつけたことを言わないでください」
佐世保が苦笑いしながらそう言った。そこで、山口との通信は終わった……。

「山口さんの現在位置がわかった! ここから北西へ200メートルほど離れた門の近く!」
少しして、佐世保がヘーゲルにそう言った。またエイのトゲがシールドに命中したときだった。シールドのエネルギーは、2機ともかなり消費していた。
『両機とも、佐世保中尉が言った地点へ移動! 移動後、着陸して、ハッチを開け!』
ヘーゲルの指示に従い、2機のエアリアルは、山口たちに向かって飛んでいった。飛行中も何発かのトゲがシールドに命中し、2機ともシールドは限界に達していた……。

 山口と妖夢は物陰から、エアリアルが来るのを待っていた。やがて、2機のエアリアルがこちらに向かってきた。山口たちは、物陰から飛び出て、大きく手を振った。
 それに応えた様子で、先頭の1号機のエアリアルが、山口たちの目の前に着陸し始めた。機体が地面に着くよりも前に、ハッチが開く。機内では、ヘーゲルが敬礼し、佐世保とガリアとウィルが手を振っていた。機体のジェットエンジンから出る強風が、枯れた雑草をなびかせた。着陸した途端、機内からガリアとウィルが、周囲を警戒しながら出てきた。2号機は空中に留まって、接近してくるエイを撃ち落としていた。
「少佐、大丈夫ですか?」
ウィルが山口に言う。
「ああ、全然大丈夫だ」
山口の横を妖夢が通り過ぎて、1号機のハッチに向かって走っていった。それを山口たちは黙って見届けていたが、エイがどんどん集まってきていることに気づくと、急いで1号機に向かって走り出した。

   バァァァン!!!!!!

 山口たちが1号機のエアリアルに向かって走り出したそのとき、耳をつんざくような大きな音が響いた……。