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CROSS 第13話 『帰投』

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第2章 道中



「すると、庭師はオレより年上ってことになるな」
「ええ、そうなりますね」

 妖夢が運転する四輪駆動車は、砂ぼこりを巻き上げながら、山道を突っ走っていた。妖夢の霊魂は、置いてきぼりにならないように、彼女のひざの上でおとなしくしていた。たまに敵と遭遇するが、うまく避けて逃げるなり、山口が西部開拓時代のバイソン狩りのように車中から撃ち殺せばそれで済んだ……。

「レミリア・スカーレットさんが500歳ってことは知ってるけど……。幻想共和国の平均寿命ってどれぐらいなるんだ?」
「いろいろな種族がいるので、統計は取れません」
「……そうか。敬語を使わなくて悪かったな」
「別にどうでもいいですよ。主従関係でないのなら、私たちの国では、年齢による上下関係なんてあまり無いですし。今から使わなくてもいいですよ。あなたに敬語を使われると、なんか気味悪いですし」
「……それはありがたいな」
「それより、また敵が前にいますから、なんとかしてください」
「わかった」
山口は自動小銃を構える。
 前方に、青く輝く目を持った骸骨戦士の悪魔が2匹おり、黒焦げで放置されている装甲車の横に立って、道を塞いでいた。少なくとも、貧乏国にはよくいる物売りのようには見えない……。

   ダダダン!!! ダダダン!!!

 山口は自動小銃を撃ち、2匹の青く輝く目をした骸骨戦士に平等にレーザー弾をお見舞いした。今までの道中の敵は、それだけこの『レーザーライフル』のレーザー弾を撃ち込んでやれば、その場で静かになってくれたが、この2匹の骸骨戦士は、それで静かになってはくれず、前転を繰り返しながら山口たちの四輪駆動車に向かって、横に並んで突っこんできた。
「……悪いけど、うまく轢き殺してくれるか?」
山口が妖夢にそう頼んだ。
「しょうがないですね」
妖夢はアクセルを踏みこみ、スピードを上げた。2匹の骸骨戦士がどんどん近づいてきた。2匹とも転がるスピードを緩めない。

   ガシャーーーン!!!

 ガラスが砕けるような大きな音とともに、四輪駆動車と骸骨戦士は正面からぶつかった。2匹の骸骨戦士は同時にバンパーに当たった。2匹の骸骨戦士は両方とも、骨を撒き散らしながらバラバラになった。この一撃で、2匹の骸骨戦士は死んだ。
 四輪駆動車のダメージは、車内から見る限りでは、バンパーがへこんでいるだけのようだ。四輪駆動車は、そのまま走り続けた。
「しまった! 任意の対物保険に入っていなかった!」
山口は、助手席から振り返って、バラバラになった骸骨戦士の残骸を見てから、わざとらしい口調でそう言った……。