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一途な嘘つきの末路

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「え………」

思わず彼の瞳を見つめる。
だって、いままで諦めようとしていたのに。
そんないきなり、「好きだ」なんて…。

僕が信じられなくて固まってたら、ふいに頬に君の手が触れて、
思わず身が竦む。
嫌だ、こんな目は知らない。
どうしてそんな、愛おしむような目で俺を見るの。


「彼女とかいらねぇから、お前が俺の傍に居てくれよ」


どうして、とか。
男の俺にそんなこと言っていいのかとか。
言いたいことはたくさんあったはずなのに、咄嗟に口を衝いて出た言葉は違った。



「僕でいいの?」
「ああ、命がいい」



ああ、泣きそうだ。
そう自覚するより早く涙が先に零れ落ちる。
ぽろぽろと溢れるそれが止まらない。
こんなに素直に感情を出したのはいったい何時以来だろう。


君が幸せになってくれればと。
誰かの隣で、僕のことなんて忘れても、笑ってさえくれるならそれでいいと思ってたんだ。
だけど、違った。
違ったんだ。本当は―――――。



「……くも……」



どうしよう、涙声がみっともない。
余裕のない姿を誰かに晒すなんて久しぶりすぎて、恥ずかしさよりも戸惑いが先にくる。
だけどそれでも、このタイミングを逃しちゃいけないことくらい僕にだって分かっていた。



「僕も、太陽の傍にいたい。本当はずっと僕が太陽の傍に居たかった……!」



言い切るのと、太陽が動くのと、どっちが早かったのかな。
痛いほどに強く強く抱きしめられた。
もうこれ以上出ないと思ってたはずの涙がまた勢いを増す。
ひく、と喉がしゃくり上げた。



「好きだ、命」
「……うん…………」


僕も、好き。
鳴咽に混じってほとんど音にならなかった呟きに、太陽は嬉しそうに笑った。







END,
作品名:一途な嘘つきの末路 作家名:れん