一途な嘘つきの末路
窓の向こうに下校していく生徒たちの群れに一際目立つ背の高い君が見える。
君の隣には、華奢で小さくて可愛らしい女の子。
飾り気のない黒髪は艶やかで綺麗に伸ばされている。しみ一つない輝くような健康的な肌に、絶世の美人とは言わないまでも愛嬌があって整った顔立ち。見た目は申し分ない少女だ。
そして彼女は頭が良い。そのわりに余計なことは口を出さず、適度に女らしくて、性質はまっすぐだ。
そんなこと考えながら眺めてたら、急に君はこっちを向いて手を振る。
僕はそんな君に笑顔で手を振り返す。
ねぇ、君は知らないでしょ?
僕が君の事、大好きだなんて。
君は笑顔で僕に手招きしながら「帰るぞ、命(いぶき)!」なんて言ってくる。
分かってるよ、君にとって僕は大事な親友だもんね。
いきなり僕がいなくなったら、優しい君は心配してくれるんだよね。
ありがとう、そんな所も大好きだったよ。
でも僕は君の幸せな未来には居れないんだ。
僕は君に困ったような笑顔で「ごめん、今日は用事ある」ってまた嘘をついた。
君は少し黙ったけど、すぐに僕に手を振ってきた。
僕も手を振り替えして、そして、誰も居なくなった教室で一人。
声を殺して泣いた。