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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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科学少女プリティミュー

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 てゆか、サイボークなのに筋肉痛って!
 しかも、萌えメーターの残量はゼロ――から徐々にまた上がりはじめていた。
 テレビカメラに映し出されるミューのモロパン!
 ミューが身動きできないことを良いことに、スカートの中を盗撮しまくりだった。
 ミラクルハニーがミューに飛び掛かろうとして……コケた!
「いった〜い!」
 この少女ズッコケでメーターがまた上がった。
 さらにいつの間にかギャラリーの声援が飛び交っていた。そのギャラリーというのが、この界隈で働く綺麗なお姉さん方。胸の開いたドレスでゆっさゆっさ応援してくれている。
 またメーターが上がった。
 そして、ミラクルハニーの毒針によって幼女になってしまった夜の蝶がボソッと。
「おちっこ」
 これが一部マニア層にバカウケだった!
 メーターが一気に満タンまで振り切れてしまった。
 今ならイケる、必殺技を繰り出すんだプリティミュー!
 が、しかし!
 ミューにはそんな余力は残されてしなかった。
 それでもミューは最後の力を振り絞ってた!
「マジカルハンマー・フィギュアチェンジ〜……」
 だが、ハンマーは持ち上がらない。
「バイバイ、ミューたん♪」
 ミラクルハニーの毒針がすぐそこまで迫ったそのときだった!
 急にミラクルハニーの体が輝きはじめ、見る見るうちに縮んでいくではないか!?
 よ〜く見ると、ミラクルハニーの羽の一部がハンマーに触れていた。
 ドジっ子!!
「いやぁーん!」
 甘えた声を出しながらミラクルハニーはフィギュアになった。
 どうにか戦いは終わった。
 でも動けないミュー。
 そのモロパンがいつまでもカメラに写された。

 ――秘密結社ジョーカー帝都支部。
 じゃなくって、都立帝都病院の個室。
 ベッドの横たわり、まるで干からびた婆さんと化したゲル大佐。
 食事ものどを通らず、点滴がポタポタと落ちる。
 部屋の片隅に置かれた通信機から声がする。
《お〜い、誰かおらんのかー?》
 返事がない、ただの屍のようだ。
 心拍計の線がまっすぐになり、医師団が動き出した。
「電気ショックの用意!」
 緊迫する病室の片隅では通信機から声がする。
《首領Xが呼びかけておるのだぞ〜、誰か返事せんか〜》
 オバチャン看護師が通信機にツカツカと近付いてきた。
「首相だかなんか知らないけど、さっきからうるさいのよ!」
《首相ではなく首――》
 看護師の手によってブチッと通信機が切られた。
 そんな間にもゲル大佐は電気ショックで息を吹き返していた。
 だが、息を吹き返したと同時に吐血。
「ゲフッ!」
「緊急手術の用意だ!」
 すぐさまゲル大佐は手術室へと運ばれた。
 誰もいなくなった病室に、食欲をそそるカレーの匂いを連れてターバンの男がやって来た。
「ゲル大佐、わしのカレーを食べて元気に……いない」
 残っているのは血痕のついたシーツ。知らない人が見たら殺人事件の現場だ。
 だが、彼もまたジョーカー怪人であった。そんなことくらいでは慌てず騒がない。
 ターバン男は部屋の片隅にあった通信機のスイッチを入れた。
「スイッチを切っては大事通信があったときに困るではないか」
 ポチッとスイッチを入れた途端、大声をスピーカーから飛び出てきた。
《電源を落とすとは何事だ! 看護婦の分際で血祭りにあげてくれ……伝説の男コブラではないか》
 通信機の小型モニターに映るシルエット。向こうが見えていると言うことは、向こうからも見えている。
 相手がコブラということに気づいて、気を取り直す首領X。
《たしか新たな味を求めて世界を旅していたのではなかったのか?》
「ついにカレーの新レシピを作りましてございます。近々帝都に店をオープンすることになりましたので、ぜひ首領X様にもおいでいただきとうございます」
《ならば行かせてもらうとしよう》
「今日中にも招待状にカレー無料券を添えてお手紙を届けますゆえ、楽しみにお待ちください」
《おお、楽しみにしておるぞ!》
 なんだか声が弾んでいる首領X。謎に包まれた存在だが、もしかしてカレー好きの一面が!?
 コブラはモニターの先にいる首領Xに会釈をした。
「それではわしは開店準備がありますゆえ、これにて失礼」
 病室を立ち去るコブラ。
 そして、スイッチを入れたまま放置された小型通信機。
《お〜い、誰かおらんのかー?》
 虚しく首領Xの声だけが響き渡った。

 ついに帝都の街に伝説の男コブラのカレー店がオープン!
 果たして首領Xは本当に来店しちゃうのか!
 そして、ゲル大佐の緊急オペの行方は!