古代からの遺産
世界同時に確認されたのは、鉄鉱山での異常音だけではなく、活火山の活動が静まったことである。同時に地熱にも変化がみられ、地下水の温度の低下が著しく現れだした。
それにより、温泉地が大打撃を受け始めたのである。
また地質学者は、プレートの動きが止まっていることを確認した。
様々なデーターを基にコンピューターが検出したのは、オーロラとの関連性である。磁気嵐、つまるところそれは、太陽が放出するプラズマ粒子と関連付けられた。どのような過程によるのかは不明のままだが、鉄を主成分とする地球のコアとプラズマ粒子との間で、磁場が発生している、と考えられた。
また、世界のコンピューターを通じた科学者会議が開かれ、地球内部のコアが冷えつつあるのではないか、という推論が続出した。
それはなにを意味するのか。
地球は『死』に向かっている、というのだ。
マチュピチュのある山岳地帯には鉄鉱山はない。にもかかわらず、唯一ここだけが異常音を発している場所として、また大きな磁場を作り出している場所として全世界から注目を浴びていた。
宇宙人による地球侵略だ、などと言いだす者もいた。
未知なる機械を早く停止させなければ、地球は凍えてしまう、生命は絶滅するだろう、と提言された。
次第に強力となりつつある磁場により、人は近付けなくなっている。磁場に影響されないロボットなどない。遠隔操作もできないので、結局は宇宙服に身を包んだ決死の人選が行われた。
そうして機械は、作動を完全停止した。
1カ月ほど過ぎた頃、急いでいた絵文字の解読は、コンピューターの力を借りて完了した。